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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.137 )
- 日時: 2012/01/27 22:45
- 名前: 翡翠 (ID: qSC6ABdB)
〜緤菜〜
聖域を飛び出して昌浩を探し回っているうちに私達は別の嫌な気配を感じた。背筋がゾクリと震え、悪寒が迸る。
「もっくん……この気配は……」
隣を物の怪の姿で疾走していたもっくんが私の肩に飛び乗り、剣呑な表情で口を開いた。
「あぁ。昌浩のものでも、あの櫻って奴のものとも違うな……もっと邪悪で禍々しい」
櫻……麗菜の姿をした全く別の人物。
その人でも無いとすれば、浮かぶのは一緒に居た、男。
だけど、その気配とも全く違う気配を私達は確かに感じていた。
今は早朝のはずなのに、聖域の外は陰湿な空気に包まれていて、太陽の光すらも阻んでいるような、そんな風に感じさせた。
「……とにかく、急ごう」
ゆっくりとだけど、確実に昌浩の気配に近づいてる。
気になることがあるとすれば、その誰の者かも分からない禍々しい気配も刻一刻と、昌浩の方へと近づいていることだった。
息を呑み、逸る気持ちを抑えながらも私達は、ただ足を進めていく意外にはなかった。
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