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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.138 )
- 日時: 2012/01/29 21:07
- 名前: 勾菜 (ID: rihdF037)
〜比古〜
俺たちは風音さんたちと離れた後、いろいろな場所を回り調べていた。
もとあった九流の邸ににも立ち寄った。
「瑩祗比古…」
「大丈夫だよ、たゆら」
心配そうに見上げてくるたゆらをゆっくりと撫でた。
それから幾日か同じようなことを繰り返したが、何も情報がつかめなかった。
「なあ、比古神たちは何かを知っているのかな?」
「知ってたとしても俺たちには教えてくれないだろうな」
なんせあの九流族の生き残りだ、そう言外に告げるたゆらにそっか、と返す。
ふと、嫌な気配を感じた。
「なんだ…」
「嫌な気配がする…」
たゆらと視線を合わせ、お互いに頷く。
俺はたゆらの背に乗り、その気配のする地へと赴いた。
***
〜???〜
高天原のある一角。
人界の様子を見ていた。
「…あの女…まだ俺を恨んでおったのか…」
めんどくさいやつ…そう心の中で呟く。
ただ、女だけで自分を恨んでいるのなら放っておけた。
しかし、彼の愛する妻の生んだ子供たちにまで手を出すのだけは許せない。
「麗菜…緤菜…」
今回は何も知らせずにいたのが裏目に出た。
彼女たち二人は神の血を引いている。
だが、その血は麗菜の方が多い。
逆に緤菜には彼の妻の巫女の血を多くひいている。
そのせいだ。
「くそっ…何の因縁だ…」
俺は忌々しげに舌打ちをしながら、人界へと降りることを決めた。
それを咎められようが、この地に俺にかなう者はいない。
それにこの件は昔、俺が火種をまいたと言ってもいい。
それだから降りるのだ。
だが、最大の理由は
自分の大切な宝を
自分自身のせいで
傷つけてしまった
自分が
許せなかった。
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