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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.145 )
- 日時: 2012/02/12 00:37
- 名前: 翡翠 (ID: 1SopHnrT)
〜紅蓮〜
俺は、状況がまだ飲み込めていなかった。
突然変わった、緤菜の姿。
現れた、禍々しい妖気の女。それと相対する、緤菜……。
緤菜の身体に居る人格、その名だけなら聞いたことがあった。
——時司大神。名のある神の一人がその人だった。
ただ、驚いたのは、時司大神の言った言葉。
確かに、“娘たち”と言ったんだ。
この場でそれに当たるのは緤菜とその姉だけだろう。
信じ難い話ではあったが、どこかで納得していたかも知れない。
何故なら、時司大神の纏う神気は、微弱ではあるが、緤菜達の纏う霊気に似ていた。
そして、現状、見ていることしか出来なかった。
あの、突然現れた女の強大な妖力と、時司大神の神々しいまでの神気が激しくぶつかり合いこの場を満たしていた。
まるで、第三者の邪魔を拒むように。
とてもじゃないが、間に割って入れる空気ではなかった。
だが、あの二人をおいてなら、話は別だ。
時司大神があの女の相手をしてくれているうちに、昌浩だけでも取り返さなければ……。
そう考え隙を窺いつつ時を待った。
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