二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.153 )
- 日時: 2012/02/21 20:34
- 名前: 翡翠 (ID: yiBoVHCo)
〜時司大神〜
麗菜は負けなかったようだ。
それは、お前にも感じられただろう……緤菜。
今はまだ、もう少しこの身体を借りるよ。
心配せずとも傷一つ、つける気はないよ。それに、あの、紅き神将も怖い顔でこちらを凝視してるしね。
余程、緤菜は大切にされているんだね。
ふふ……安心したよ。
二人が立派に成長してくれていて。
こんなことに巻き込んだのは済まないと思っているが……。
珠櫻とはちょっとした因果があるんだよ。
大丈夫、父様が負けることはないよ。万に一つもね。
……守るべきお前達が居るのだから。
この身体は、珠櫻と接触できたさいに返すよ。
それまでは……眠っていなさい。
「さ、てと、珠櫻よ……因果を断ち切ろうじゃないか」
ニヤリと笑みを浮かべる。
そして激しくぶつかり合う気。
そのぶつかり合いの中で、言葉と己の力を具現化しぶつけ合った。
しかし、そう簡単に隙ができるような相手でもない。
……どうしたものか。
視界を狭め、息を呑む。そのときだった。
珠櫻の遥か後方に、青き神将と麗菜の姿が見えたのは。
それが見間違いではないと確信した瞬間、ある賭けにでることにした。
それは……自らの全神気を一時的に解き放ち、相手の動きを一瞬封じるという荒業。巧くいけば珠櫻への接触が出来る。
しかし、失敗すれば……珠櫻の妖気に取り込まれかねないのだ。
「……いや、失敗したときのことなど考える必要はないな」
呟きとともに実行に移すことにする。
何故なら自信があったからだ。
珠櫻を止め、接触し、彼女の内に入り込む自信が。
そして、後のことは麗菜に任せられるということも分かっていた。
きっと、麗菜なら、先読みしてくれるはずだ……。
瞼を一度閉じて神気を高める。
そして——……解き放った。
時司大神の神気が意味するものは、名の通り“時”
世界が白一色に染まる。その中で唯一動けるものが居るとすれば……
それは、血族である、麗菜と緤菜だけなのだ。