二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.158 )
日時: 2012/02/25 22:10
名前: 勾菜 (ID: DZJdcZOC)

〜麗菜〜

振り上げられた刃。
光に反射してきらめく白刃。

その次に視界に映る色。
それはきっと——————紅

そう、思っていたのに。

キィィィンと音がした。
瞬間、視界に広がるのは——————蒼。

驚きに目を見開くと、ぐいっと腕を引っ張られて安心できる腕の中に引き込まれる。

ふと、振り上げられていた短剣が遠くに弾き飛ばされていた。

「宵…藍…」

名を呼べば、スッと腕を離し解放してくれる。

私はゆっくりと後ろを振り向いた。
そこには。
秀麗な面差をくやしげに歪めた、そいつがいた。

「なんで…あなたまで動けるの…」
我知らず、そんな問いがこぼれおちる。

そいつは、ニッと唇に笑みの色を宿した。

「なんで?…君の血を僕が持ってるから、でいい?」
くつくつと、さもおかしそうに嗤った、この男。
その瞳に、狂気が宿ったのを私は見逃さなかった。






「——…」





思わず、名を呟いた私の声は、一陣の風にさらわれた。