二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.159 )
日時: 2012/02/28 20:20
名前: 翡翠 (ID: XMukwujP)

〜緤菜〜

瑠璃の光を纏った青龍が麗菜を助けてくれたことを見届けると、つかの間の安堵からか、気が抜けた気がした。

青龍が麗菜の元に居てくれれば大丈夫だろう。
そう思えたからこそ、私はこの機会に乗じて昌浩を紅蓮のすぐ傍まで運んだ。流石に時の動かない中で天狐の血が騒ぐことも無く、思ったよりも遥かに楽に取り戻すことが出来た。

青龍がこの場で動けたのは、麗菜の思いと霊力の宿った瑠璃の勾玉を託されていたからだろう。

そう推測して、私は瑠璃の手鏡を手に、紅蓮の手元に触れた。
そっと、その大きな手に触れて、瑠璃の手鏡を渡す。
 手鏡を持たせた後に言霊を込めて名を呼んだ。

「——紅蓮……目を覚まして」

凛とした声ではっきりと告げると、数十秒後、時が止まり色あせていたその体に色彩と神気が再び戻ってくるのを感じた。

「おかえり、紅蓮」

笑顔で告げると、困惑した表情の紅蓮の腕が私の体を包み込んだ。

「無茶をしすぎなんだ……お前も昌浩も」

紡ぎだされた言の葉は、如何にも紅蓮らしい一言でそれにほっとした。
そうして、抱擁を交わした後、紅蓮に状況を説明し、昌浩の傍に居てほしいということも伝えた。

……私は、麗菜の元へと駆け寄った。