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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.164 )
- 日時: 2012/04/06 21:25
- 名前: 勾菜 (ID: J0PYpSvm)
〜麗菜〜
駆け寄ってきた緤菜。
でも。
私と宵藍を見てか、一歩手前で足を止めてしまった。
名を呼ぼうとして、ふと違和感に気がつく。
何かがわからない。
けれど、たしかに違和感がある。
未だに抑えられていない、時司の血。神の力。
それは常人よりもそういった気配を探るのには長けている。
緤菜のことは気にかかるが、今はこちらを優先する。
静かに瞼を下ろして、意識を集中させる。
私の眼前にいるあいつは、傍らの宵藍がいるから大丈夫だと、本能が告げる。
どこかにないか
違和感の正体
(これは力の綻び…?)
そのまま、意識をそこへと向ける。
——見つけた…
父様の『時』の結界。
そこに、針の穴ほどの小さな綻びが生じていた。
これほど小さな綻びなら、私自身、この力がなければ気がついても場所の把握はきっと難しかっただろう。
でも、緤菜ならば気が付いているはず。
スッと緤菜へと視線を向けると困惑の表情を浮かべていた。
不謹慎だけど思わず笑みがこぼれた。
——ああ…やっぱり緤菜は自分の大切な妹だ…
その場所は宵藍にも代えられない、唯一無二の存在
魂より深いところで ずっと 繋がっている 血をわけた存在——
私はそっと緤菜へと手を伸ばす。
「緤菜——…」
言魂が魂に届くように。
自分たちの一番深いところに響くように。
思いを込めて。
「私には緤菜が必要なの。
だから———」
私の隣で、二人で。
助け合おう?
ずっと、ずっとそうしてきたように。
緤菜にしか聞こえないように小さく呟く。
ね、というようにふわりと微笑する。
私、うまく笑えてるかな…
ふとそんなことまで考えてしまう。
笑うその姿は、今は亡き母の姿に酷似していた———…
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