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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.165 )
- 日時: 2012/04/08 02:51
- 名前: 翡翠 (ID: rBMEYlp6)
〜緤菜〜
立ち止まった私に気がついた麗菜がこちらへと視線を向けた。
久しぶりに瞳をしっかりと合わせたようなそんな気がした。
そして、差し出された手。
優しくて強くて温かい私の大好きな麗菜の手。
だけど、私の中の何かが告げている。
この手を私がとっても良いの……?
そんな疑問が脳裏を巡って動けない私に麗菜は呼びかけてくれた。
「緤菜——…」
名前を呼んでくれた。
そこに込められた言葉の意味を魂を知って、泣きたいような、そんな気持ちに満たされながら、麗菜の方へと足が動いていた。
純粋に嬉しかったんだ。
私を必要として名をまた呼んでくれたことが。
嬉しさで胸がいっぱいになってた。
だからだったのかな?
ほんの少しの油断が隙が私にはあった。
ジュブッ……
後、ほんの一歩踏み出せば麗菜に手が届くというところで、私の世界は反転した。
お腹の辺りを何か鋭くて冷たいものが貫通したのが分かった。
が、そこで意識は途切れる。
途切れる意識の中で、麗菜の声を聞いた気がした。
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