二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.17 )
- 日時: 2011/03/22 18:57
- 名前: 勾菜 (ID: EbRIJM5s)
- 参照: http://www.kakiko.cc/bbs3/index.cgi?mode
〜麗菜〜
安倍晴明。
この名前を聞くたびに思い出すのが母の言葉。
「さて、まずはお二人がどうしてここに来たのかを聞きましょうかのぅ」
話しかけられたからには、晴明には、事情を話さなければならない。
…そうしなければならない。
だが、聞かせることができるのは、安倍晴明ただ一人。
意を決して私は口を開く。
「晴明様、お初にお目にかかります。私は緋月麗菜。
こちらにおりますのは、我が妹、緤菜。」
そこで、緤菜が軽く会釈をする。
それを、視界の隅でとらえた私はそのまま言葉を紡ぐ。
「晴明様、ご無礼を承知してお願い申しあげます。」
そこで少し間を開け、私は口を開く。
「私達と、晴明様以外、お人払いをお願いできますか?
…もちろん、式神の方々も。……聞かれたくない話なのです。
どうか、お願いします。」
瞬間、周りにいた式神たちの気配が先程より、警戒の色を濃くした。
「晴明。」
と、黒髪の女性が口を開く。
この口調は、拒否しているように聞こえる。
それに続くようにして、金髪の女性も朱い髪の男性も声を上げる。
「晴明様。」
「晴明っ!」
——まあ、当然の反応だろうと私は思う。
大切な唯一無二の主をこんな得体のしれない者たちだけにするというのが不安なのだろう。
私は、小さくため息をつきもう一度口を開こうとする。
しかし、それは晴明本人によって遮られる。
「やめろ、お前たち。…麗菜殿、緤菜殿…お話、伺いましょう。」
「「「晴明(様)!!」」」
「「…ありがとうございます、晴明様。」」
主が、決めたにもかかわらず、神将たちは不服そうだ。
「ほれ、お前たち少しの間じゃ。それに、この方たちには、敵意は無いよ。」
「だがっ!」
「朱雀、わしが決めたことだ。…逆らうな。」
先程までの、飄々とした態度から厳しい表情を浮かべた、晴明。
………十二神将の主としての顔。
そこで、ようやく神将たちが席をはずした。
「さて…改めてお話しいただけますかな?」
「「はい。」」
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——…もう決めた。
もう迷わない。
もう逃げない。
私達の、天命を覆すことができるように。
この男に話して、天命を少しでも変えることができるように。
私達は、そう願う。
今から話すことが言霊となって……私達の願いが実現するように。
これだけが、私達の唯一無二の…願い。
母を殺したあの妖怪を討取って、私達にかけられた恐ろしい呪縛……天命に、打ち勝つために。
私達はそのためにアイツに挑む。
この声が天に届くなら、神よ、私達の願いをかなえてください。