二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.19 )
- 日時: 2011/03/22 22:51
- 名前: 勾菜 (ID: 0fPlrl5B)
- 参照: http://www.kakiko.cc/bbs3/index.cgi?mode
〜麗菜〜
「さて、まずはお二人がこの都に来た理由から、聞きましょうかのぅ」
晴明にこの言葉を言われた瞬間、一瞬、世界がゆがんだ気がした。
私は、ハッと無意識に息を詰める。
麗菜は、自信を落ちつけるべく、一回深呼吸をした。
(大丈夫、晴明様になら…さっき、決意したんだから…)
麗菜は、口を開く。
「私達が、都へ来た目的は…母を殺し、私達に呪縛を残して言った妖怪との因縁を断ち切るためです。」
「ほぉ…妖怪、ですか。」
と、興味深げに晴明が返事をする。
「はい…」
そこから、私は過去を語りだした。
「それは、おいたわしい…」
「…晴明様、私達は同情などいりません。ほしいのは…あいつを倒す力を貸していただきたいのです!」
その言葉を言った瞬間、不穏な気を悟り、私達は反射的に後ろへさがる。
すると、先程まで私達がいたところに、大鎌が据えられていた。
私が、その人物を見ると——…『蒼』そう例えるのが一番正しい気がした。
「貴様達、何者だ。」
不覚にも、私は蒼い人物に見とれてしまった。
「私達は晴明様に助力を乞いに来ただけよ。」
「黙れ、女。」
「宵…青龍、やめなさい。」
「だが、晴明。」
「失礼をしました、麗菜殿、緤菜殿。私はあなた方にお力をおかししましょう。」
「晴明っ!こいつらに、力を貸すというのか!こんな、得体の知らない呪縛を受けた者たちに!」
青龍の言葉を聞いた私は、頭のどこかで何かが消える音を聞いた。
「晴明様…ご無礼お許しくださいね。」
私は低い声でそうつぶやくと、大きく息を吸いこみ、
「…確かに、お前にとって私達は得体のしれないものかもしれない!だけど…私達はあの時から、ずっと、ずっと!この呪縛に苦しんできた!だから私達はここに来た!…5歳の時からの因縁を断ち切るために!私達の天命を覆すために!…そして、何より母との約束を守るために!!だから、ここにきて、晴明様に助力を乞ったのよ!」
と、そう一息に言いきった。
なぜだろう、私の存在を否定された気がする。
私達が今まで生きてきた年月を否定された気がする。
そう思った瞬間、涙が溢れてきた。
しかし、青龍の瞳から私は瞳をそらさなかった。
いきなり泣き出した私を慌てたように晴明が取りなす。
「麗菜殿…」
「すみません、晴明様。私としたことが取りみだしてしまいました。」
「お気になさらずに。…青龍よ。」
「チッ…貴様、晴明に害なすことをしてみろ。…その時はたたき切ってやる。」
そのまま、青龍は異界にもどっていった。
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5歳の私達に、瀕死の母が残した言葉。
『麗菜、緤菜…安倍晴明に、会いなさい。…あの方ならきっと…お前たちを、助けてくれるから…お前たちに…施された呪縛をとく方法は、あの方が…見つけてくれる…はず、だから…お前達、二人で助け合いなさい…あいつは、お前たちの心の闇を使って…呪縛を発動させる…から…』
母がその言葉を残したとき、母の頬には涙がつたっていった。
母の青白い顔を月光が照らし出していた。
母が死んでしばらくは、私達は闇が怖かった。
だけど、ある神が私達を助けてくれた。
その神は気まぐれな方だった。
半壊した屋敷にいた私達を、助けて、ここまで育ててくれた。
その恩を忘れることはしない。
だから、私達は陰陽師としての修業をした。
禊をした。
都の平和を守ろうとした。
それも、全て母の言葉を守るため。
かの神への恩を返すため。
これが、私達の本当の思い。
天命から、逃げたいと思う恐怖の心。
あいつへの恨み。
たくさんの思いが、私達を取り巻いている。
最後に残るのは、どの思い…?
翡翠≫
私の方こそ、変な方へ転ばせた!
ごめん><!