二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.24 )
日時: 2011/03/23 20:40
名前: 勾菜 (ID: afDkyVXv)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs3/index.cgi?mode

〜麗菜〜

案内された部屋は、きれいに掃除されていた。

用意されていたのは二つの茵。

ここまで、用意がいいのは驚いた。

私達は、やはり疲れていたのだろう。
茵に潜り込むとそのまま眠ってしまった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次の日

安倍邸に来て初めての朝。
隣の緤菜を見るとまだ眠っていた。

私は、緤菜を起こさないように茵から起き上がり外へ出た。

まだ、夜が明ける前だった。


ふと、向こうの廊下に気配を察した私はそちらに向かった。
近づくにつれて、話声が聞こえてきた。

『玄武っ!あいつに話かけなさいよっ!』
『なぜ我が…太陰が見てみたいと言ってきたのだから、太陰が話しかければよいだろう。』

なるほど、どちらが私に話しかけるかをもめているのか…
苦笑しながら、私は二人に声をかける。

「何してるの?」

声をかけると、二人はびくりと肩を震わせる。
私は、二人を安心させる意味で再び口を開く。

「大丈夫、私はあなたたちに危害を加えたりしないわ。…私は緋月麗菜。…あなたたちは、晴明様の式神よね?…名前は?」

そう聞くと少し気を抜いた顔をしてそれぞれの名を名乗る。

「私は、十二神将太陰!よろしくね、麗菜!」
「我は、十二神将玄武。太陰の風には気をつけた方がいい。」

と、最後に注意を付け加えた、玄武。
それをしかっかりきいていた太陰は、玄武の耳を引っ張り叫ぶ。

「なんですってぇ!」
「太陰、まだみんな寝てるわ。…静かにしないとね。」

そう言うと、太陰は状況に気付いたらしく、口をつむぐ。

「ごめん。」
「大丈夫よ。」

そんなふうに、私のはじめての朝は過ぎていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あと何度、私は、幸せを感じることができるだろう。
あと何度、私は、誰かと話すことができるだろう。
あと何度、私は、誰かと共にいることができるだろう。
あと何度、私は、無事でいることを喜べるだろう。
あと何度、私は、緤菜を助けることができるだろう。
あと何度、私は、緤菜と共に助け合うことができるだろう。
あと何度、私は、あの神の役に立つことができるだろう。

私の不安。
いつもの私は強がっているだけの弱い自分。
緤菜を守るためだけに自分を犠牲にしていた弱い私。
弱い私を誰か守って…
本当の私を誰か、見つけて…?