二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.27 )
日時: 2011/03/24 02:41
名前: 翡翠 (ID: UNmuBzLD)

〜緤菜〜

…朝、私を起こしに来た相手は以外と言うか、何と言うか。

「…あのなぁ、言いたい事があるならはっきり言え」

夕焼けのように紅い瞳をこちらに向けてもっくんは言う。
紅い瞳、それはあまりにも美しい。

「えと、綺麗な紅い瞳ね」

私が急にそんなことを言うともっくんは目を見開いた。

「お前、いきなり何言ってるんだ?」
「ん?いや、綺麗だなって、…私何かとは大違…」

言いかけた言葉を途中で飲み込む。
何言ってんだろ…こんなこと言っても呪縛は変わらないのに…。
急に黙った私にもっくんはぼそりと消え入りそうな声音で言った。

「…お前は俺が恐くないのか…?」

もっくんの言葉に驚く。
が、すぐに理解した、もっくんが言ってるのは十二神将《騰蛇》が恐くは無いのか、そう聞いてきたのだと分かったから。

「恐くないよ、少しも。だってそんなに綺麗な瞳を持つ人見た事無いもん」

そう言って、私はもっくんを抱きかかえた。
白い穢れ無き毛並みはとても温かく心地良い。

「うわっ!急に何する!」

もっくんは慌てたように言う。
私はそれに笑って返す。



…すごく楽しい。
すごく幸せ。
ずっとこのまま皆で笑っていたい。

そんな風に思う。
けど、それが叶わない事を私自身が誰よりも知ってる。





——この後、あいつの《手下》共が動き始めるのだから……。