二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.30 )
- 日時: 2011/03/24 21:47
- 名前: 勾菜 (ID: 3NNM32wR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/bbs3/index.cgi?mode
〜麗菜〜
私が太陰たちと別れて、部屋に戻ると中から話声がした。
気配を探ると、緤菜と物の怪のものだった。
私は部屋に戻るのをやめ、そのまま渡殿にでた。
ふと、妙な気配を感じて築地塀を見る。
そこに、黒っぽい靄が見えた気がした。
違和感を感じ、私はそこに足を運ぶ。
ここは安倍邸。
安倍晴明の強靭な結界に守られている。
だからだろうか、妙な気配は結界の外側から感じる。
私は、それを調べるために門の方へ足を向ける。
しかし、背後からかけられた声にそれができなくなる。
「貴様、何をしている。」
「…青龍…」
「その名で呼ぶな。」
「あら、名前がなかったら呼べないわ、名無しの青い神さま。」
そう私が言うと、青龍の顔は明らかに不機嫌そうになる。
「やめろ。」
「じゃあ、青龍って呼んでいいでしょ?」
「……」
そのまま、返事はない。
だが、先程より不機嫌そうではなくなっている。
これは、肯定としよう。
「…何をしていた。」
「うん…なんだか妙な気配がしたものだから。」
「妙な、気配…だと。」
「ええ。」
先程、私が感じたものについて青龍に話すとだんだんと剣呑な目つきに代わっていく。
「だから、外に行って確認してこようと思って。」
「ならば、俺も行く。」
と、意外な発言をした青龍。
「へ?」
私は、つい、まの抜けた返事をしてしまった。
「様子を見に行くのだろう。」
「ええ。」
私達はそのまま、外へ出た。
* * *
門から出た私達は、すぐに異様な気配に気がつく。
瞬間、私と青龍は結界内に取り込まれてしまう。
「なっ」
「ちぃっ」
結界内にいたのは、黒い一枚の布マントのようにを纏った、人間。
否、人間の姿をした妖怪。
布で隠された顔。そこから口元だけが見える。
妖怪は私を凝視していた。
妖怪は口元を醜く歪めた。
それを見た瞬間、私の世界が歪んだ気がした。
胸の奥がズキリと痛む。
めまいが起きそうになるのを必死に押しとどめ、私は叫ぶ。
「お前は何だ!あいつの配下の者か!」
『イカニモ。我ハアノ方ノ配下。貴様ラヲ探シニ来タノダヨ。』
「私達は、おまえを倒す!」
あぁ、いけない。呪縛が暴れる。発動してしまう。
そんなことを一瞬頭をよぎる。
すると、私の眼前に『青』が広がる。
「失せろ。」
そういい、青龍は大鎌を妖怪に向けて振りおろした。
『チッ…マタコヨウゾ。女ァァっ!』
それを見届けると今度こそ、私は意識を手放した。
意識を手放す寸前、青龍が何かを叫んだ気がしたが、それを聞きとることはできなかった。
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アイツガ動き始めた。
私達の敵。
母の仇。
憎くて恐ろしいあいつ。
今、ふと脳裏によぎるのは、『死』
私は、死ぬまでに大切な人を見つけることができるのだろうか…?