二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.32 )
日時: 2011/03/25 04:09
名前: 翡翠 (ID: Nco2fuPq)

〜緤菜〜

もっくんと話をしている途中で嫌な気配を感じた。

「…?」
「どうかしたか?」

急に黙り込んだ私にもっくんが問いかけてくる。
…気のせい、だよね?

「うんん、何でもない」

胸に過った嫌な予感を打ち消すように口にした。

「そうかぁ?なら良いが…」

そんな風にもっくんとの会話はしばらく続いた。

*     *      *

数十分後の事だった。

麗菜が妖怪と遭遇して意識を失ったと昌浩から聞いたのは。

「麗菜を襲った妖怪は…」

私は意識を失った麗菜の元を訪れた後妖怪が現れたという場所に来ていた。
その場に意識を集中させ僅かに残る妖気の残滓を探る。

…妖気からして、間違いない無く《あいつ》の手下のものだと思われた。
そして、後悔する。
どうして、嫌な予感がしたときに様子を見に行かなかったんだろう、と。

「行けば、麗菜が倒れる事も無かったのに!」

ギュっと拳を握り締める。
悔しかった。
その場に居なかった事が。
怖かった、独りぼっちになってしまいそうで。

「…独りは嫌だよ…」

私の小さな呟きは穏やか過ぎる風によって打ち消された。

しばらくそうして佇んでいると、私を呼びにもっくんが現れた。

「おい、お前の姉が目を覚ましたぞ」

もっくんの言葉に私は一目散に麗菜がいる部屋に向かった。
ただ、会いたかった。
会って無事を確かめたかった。