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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.37 )
- 日時: 2011/03/26 02:37
- 名前: 翡翠 (ID: uoHTZdTU)
〜緤菜〜
麗菜のいる部屋に私は駆け込むように入っていった。
麗菜の無事な姿に声に私達は抱きあう。
…怖かった。
私の目の前から居なくなってしまいそうで。
だけど、麗菜はこうして目を覚ましてくれた。
また私の名前を呼んでくれた。
それが何よりも嬉しかった。
麗菜としばらく話をした後、私は不穏な気配を感じて安倍邸の中庭に出ていた。
「……?」
空は既に日が落ち始めていた。
「…気のせい…いや、違う…」
気のせい、じゃない。
この気配は…。
「おい、お前、そんなとこで何してる?」
頭上から突然降ってきた声に肩が一度跳ねた。
「もっくんかぁ、驚かさないでよ…」
声の方を振り返れば屋根の上に座り込む白い物の怪の姿があった。
「だから、もっくん言うな!」
しっかり反論してくるあたりが可愛いと思ったりする。
「それで、もっくんの方こそ屋根の上で何してたの?」
もっくんの反論を無視して続けると諦めたように答えてくれる。
「別に、何もしてない。ただお前が外に出るのが見えたから…」
もっくんの口から出た以外な言葉に私は思わず笑ってしまう。
「何それ、心配してくれたんだ?」
「なっ、誰もそんなこと言ってないだろ!」
焦るもっくんが可笑しくて私はただ笑っていた。
そう、あまりにも楽しくてまたも、気づかなかった。
見逃してしまった…。
あれだけの《妖気》を発していたと言うのに…。
——私は後悔するだろう、見逃してしまった事を。
《安倍家》の者や《十二神将》達を巻き込んでしまったこを……。
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