二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.39 )
- 日時: 2011/03/27 05:49
- 名前: 翡翠 (ID: 809vmuNZ)
〜緤菜〜
もっくんと他愛の無い話をしばらくしていたときだ。
「緤菜——」
室内に緊迫した様子の麗菜が入ってきた。
「麗菜?どうしたの、まだ起き上がったら……」
続けて言おうとして黙り込む。
…気配がした。
妖気…だけじゃない!?
「おい、これは!」
「うん、妖気ともう一つ…」
もう一つ違う強い力を感じる。
「…向こうに青龍もいる、行こう」
麗菜の言葉に私は頷く。
けど、もっくんは黙り込んだままだった。
「もっくん…?」
動こうとしないもっくんに声をもう一度かける。
「…俺はついて行かない、お前達だけで行け」
「どうして?」
急に態度の変わったもっくんに問いかける。
そう、問いかけるのと結界に周囲を囲まれるのとは同時だった。
「…!?」
「緤菜っ!」
麗菜の叫び声が聞こえた。
けど、それが最後だった。
…結界内に閉じ込められた…。
心中でそう呟く。
晴明の結界に守られているからと気を抜いたのがいけなかった。
自分の甘さ加減に情けなさが襲ってくる。
私はなるべく平静を保ちながら周囲を見回した。
…濃密な妖気は肌で感じることができる。
けど、何だろう…。
「妖気を発している本体はこの結界内にいない?」
では、本体は何処に…。
そこまで考えが至って私は瞠目した。
まさか!!
——まさか、本体は麗菜の元に…?
そんな考えが頭を過ったと同時に結界内で緋色の神気が爆発した。
その神気が誰のものか分かり安堵する。
「もっくん…」
目の前に現れたのは長身の紅い髪の男性。
「もっくん言うな、この姿のときは騰蛇だ」
そう、頼もしい十二神将の一人、火将騰蛇。
扱うのは地獄の業火。
騰蛇の炎を浴びたものは瞬く間に灰と化す。
「…騰蛇、この結界、破る事はできる?」
充満する妖気を霊力で相殺しながら問う。
「当たり前だ、俺を誰だと思っている?」
ニヤリと笑うその姿に私も微笑み返す。
…麗菜のことが心配で焦る気持ちはある。
けど、合流するためにもまずはこの結界を破壊しなければならない。
「ふふ、そうね、さっさと壊してしまおう」
そう口にして私と騰蛇は結界を破壊するために神気と霊力をそれぞれに振るうのだった。