二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.40 )
日時: 2011/03/27 19:02
名前: 勾菜 (ID: 7EYM.IE5)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs3/index.cgi?mode

〜麗菜〜

緤菜のもとに向かい、声を掛けてすぐ。

緤菜と物の怪は、結界内に取り込まれた。

「緤菜っ!」
私は、叫びをあげる。
が、その声に返事はない。

だが、そんな私も緤菜たちを心配している暇ではなくなってしまった。

私自身も結界内にとりこまれる。

“アイツ”の手下が目の前に現れる。

『女…アノ方ガ呼ンデイラッシャル。…来イ!』

ドクンっ、と心臓がはねる。
いやな汗が背をつたう。
それを我慢して、私は叫ぶ。

「誰が…行くものか!」
そう言い、呪符を取り出す。
(ここは、安倍邸…少し持ち堪えれば…緤菜たちが来る…!)

『ホォ…抵抗スルノカ…ナラバ、力尽クデ連レテ行クマデノコトダ!!!』
妖怪はニヤリと醜く笑う。


呼吸を整え、呪文を唱える。
「オンアビラウンキャンシャラクタン!」

ズキンと、呪縛の跡が疼いた。

*         *         *

麗菜から離れて待っていた青龍は、不意に感じた妖気に息をのむ。

「馬鹿な…ここは晴明の結界で守られているんだぞ…!」
その時にふと脳裏に浮かぶのは、麗菜という少女の姿と双子の妹。

「まさかっ…」
そう呟くと同時に叫び声が聞こえる。
そのまま、青龍は駆け出していた。

あえて、憎い騰蛇がいることなど考えなかった。

ただ、アイツが無事であることを祈った。