二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.41 )
日時: 2011/03/27 21:32
名前: 翡翠 (ID: 2aIbLYIF)

〜緤菜〜

そう、すぐに壊してしまえる…はずだった。

「何なの…この結界は…」
「神気をいくらぶつけても罅一つできないとは!」

壊れるどころか、妖気がますます濃密になっている気さえする。
…気味が悪い。
何なの?この結界。
そんな考えが頭を過ったときだった。

『ムダだ、貴様達はここから逃れることはデキナイ…』

何とも言えない嘲笑うような声が響き渡った。
脳内に直接響くようなその声に、嫌な汗が身体から出てくる。

「お前は何者?…姿を見せなさい!!」

叫ぶと同時にその場の妖気が更に濃さを増した。

「気をつけろ…これは!」

騰蛇が声を上げるのと同時、怪しい妖気を纏いながら姿を現す姿があった。

『貴様をアノカタの元にお連れスル』

ゾクリっ…。
あの方、その言葉だけで呪縛が騒ぐのが分かった。

「あの方、だと?」
『ソウダ、アノカタだ』

騰蛇の言葉に鬼人の様な体格の妖怪は答える。

「ふざけないでっ!私は、絶対にあいつのとこになんか行かない!!」

そう叫ぶと同時に刀印を結び叫ぶ!

「オンアビラウンキャン、シャラクタン…!」

叫ぶと同時に妖怪の周りに強固な壁が出来上がる。

『ムダナコトヲ…』

妖怪は嘲笑うように言う、私はそれを無視して続ける。

「ナウマクサンマンダ、バサラダン、カン!」

刀印を叩き落す。
純粋な霊気の刃が無数に分かたれ、妖怪の身体を引き裂いた。
が、この術が私の最後の攻撃となった。

…霊力が…

霊力が底をつきかけていた。
結界内の妖気を相殺するために霊力を思ったよりも消費していたみたい。
…情けないな。
そんな風に考えて私の視界は闇に染まる。
その場にくず折れそうになる私を壁を破壊した妖怪が捕らえる。

『マズハ一人ツカマエタ…』
「そいつを放せ…」

緋色の神気が迸る。
が、それは妖怪の妖気によって相殺される。

『オマエウルサイ…邪魔をスルナ!』

妖怪の妖気が蛇が如くうねり、騰蛇の元へ向かう。
騰蛇はそれを相殺する、が、相殺し次の瞬間辺りが開けたときには妖怪と緤菜の姿はなかった。

「くそっ!」

苛立ちを隠す事もせず、神気を結界にぶつける。
やがて、あれほど濃密な妖気に溢れていた結界は音もなく崩れ去るのだった…。