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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.48 )
- 日時: 2011/03/30 20:34
- 名前: 勾菜 (ID: gOBbXtG8)
〜麗菜〜
私は夜警に出ていた。
もちろん、緤菜を探すために。
だが、もうあまり心配していなかった。
王龍様が動いたらしいから。
だから、私は少しでも緤菜の役に立とうとこうして夜警に出た。
こうしている間に、緤菜は仇を取っているはずなのだ。
でも、自分は何もできない。
そのことばかりが、私をさいなんだ。
しかし、緤菜はこう言うだろう。
『気にしなくていいのに…』
でも、これではいけないのだ。
私も役に立ちたい。
足をひぱっりたくないから。
——…ぉぃ
その声で、思考の淵から浮上する。
「あ、ごめん。なに、青龍?」
「…いや」
「そう。…来た…」
そう言う私の隣で青龍が警戒する気配を纏う。
「青龍…手は出さないでね。私が…祓う。」
「お前…」
返事を返す青龍の声音は不満そうな雰囲気を漂わせている。
「お願い。」
「……わかった」
再び頼み込むと、青龍は、渋々ながら了承してくれた。
「ありがとう。」
「…気をつけろ。」
「えぇ。」
一通り会話を終えると、私は妖怪に目を向ける。
「さて、緤菜の居場所、はいてもらおうかしら。」
そう言うと怪しげに微笑む。
「教エルモノカ。」
「そう、なら力ずくで。」
「望ムトコロダ。モウ一人ノ女ノモトニ貴様モ連レテ行コウ…」
そう言って、醜く妖怪は笑う。
私は、符をかまえ呪文を唱えた。
* * *
「さぁ、教えなさい。緤菜の居場所を」
「ゼェゼェ…教エヌ…」
「まだ、抗うか。」
そのとき、妖怪の体が朽ち始めた。
そして、妖怪は絶命した。
その妖怪は、私の術で虫の息だったのだ。
「…だめね、みんな口が堅い。」
「まだ、始めたばかりだ。」
「そうね…」
このとき、私は気がつかなかった。
私たちを見つめる黒い影があることに。
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