二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.52 )
日時: 2011/04/02 20:35
名前: 勾菜 (ID: WXKAXP/E)

〜青龍〜

俺は、麗菜が連れ去られた後、晴明の部屋に向かった。
もちろん、麗菜のことを報告するために。

「晴明、麗菜が連れ去られた。」
平静を装うため、俺はあくまで淡々と言う。
だが、本心は助けに行きたいと思っている。

「なんじゃとっ…!」
この驚き方は、知らなかったらしい。

「何者かが麗菜を操っていた。…場所は妹と同じところだと思う。」

「そうか…なら、お前も助けに行って来い。」
「も…?」
お前も、ということは俺以外にも行った奴がいるということだ。

「紅蓮じゃよ。」
瞬間、俺の中に憎悪が生まれる。

「騰陀だと。」
「ああ、そうじゃよ。」

「なぜ、あいつが行くんだ!」
「紅蓮は、緤菜殿を助けに行ったんじゃよ。宵藍、お前とは目的が違うんじゃよ。それに…」
そのまま、晴明は言葉を紡ぐ。

「今の状態で行くと麗菜殿のほうが危険じゃ。」
その言葉に愕然とする。

「何だと…どういう意味だっ!」
つい、声を荒げる。

「緤菜殿はこれだけ時間がたっても、牛鬼どもがこちらに何も仕掛けてこないんじゃ。
 それは、何もしていないということも意味する。
 だが、麗菜殿も連れ去られてしまうとは…何か別の意味があるとしか思えない。」

その言葉を聞いた瞬間、俺はこう答えていた。
「場所を教えろ。」
「場所は………——じゃ。」

おれは、すぐにそこへ向かう。
ただ、麗菜のことを考えて。
そばにいながら、引き留めることができなかった己を責めながら。