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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.57 )
- 日時: 2011/04/04 17:40
- 名前: 翡翠 (ID: WXTMozUA)
〜緤菜〜
何度も何度も名前を呼んで、そして来てくれた。
来てくれたのに、私は、騰蛇に攻撃を仕掛ける。
そんな事は望んでいないのに身体は牛鬼の命令どおりに動いて、自由に動く事などできなかった。
曖昧な意識と視界の中で私は麗菜の姿を見ていた。
…やっと、会えたのにどうして…
そんな思いで麗菜の姿を追っていた。
そして、青龍が現れる。
青龍と相対する麗菜は泣いているように見えて胸が痛んだ。
そうしていたとき青龍が言った。
「…俺を殺したければ殺せばいい!」
その言葉に麗菜がわずかに意思を取り戻した気がした。
そして、次の瞬間起こった出来事を見て、私は暴走した。
「っぁ…」
麗菜が剣を突き立てたのは自らの胸。
紅い液体が溢れ出す。
…麗菜?
しばらくは状況が分からなかった。
けど、麗菜の言葉を遠くながらも捉えた瞬間、私は理解した。
「ごめ…なさ…い…」
あの、紅い液は麗菜の血だと。
嘘…嫌だ、何で!!
そんな事で頭がいっぱいになって、やがて何もかも壊してしまいたくなる。
「…壊して、やる」
「緤菜?」
騰蛇の声も耳に届かない。
『緤菜!早まるな!』
王龍様の声も聞こえない。
——このとき、私の中に《狂気》は生まれた。
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