二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.67 )
日時: 2011/04/13 02:07
名前: 翡翠 (ID: djMAtmQc)

〜紅蓮〜

意識を手放した俺が次に目を覚ました場所は、暗く何も無い場所だった。

「…ここに、居るのか」

暗闇は深く、俺にあの頃の記憶を見せる。
あの頃、そう、昌浩が生まれるまで俺は独りでいた。

晴明の命があるまで人界に現れることも無く、同胞達とも接触しなかった。あの頃、俺が居た場所はここと変わらない空間だった。

「緤菜…」

名を呼ぶ。
音の無い世界で声が響いた。
当ても無く声は広がり響き、やがて消える。

「本当に、何も無いな…」

言って俺は神気を具現化して、火玉を生み出す。
明かりなど無くても昼間と同じように周りを見ることができるが、それは俺だけであって、この暗闇の何処かに居るであろう、緤菜には当てはまらないかもしれない。

だから、俺は、もしも、緤菜が気づいてくれたなら、すぐに居場所が分かるよう明かりを灯したんだ。

「…絶対に見つけてやるからな」

そう、発して暗闇の中を俺は、緤菜の名を呼びながら歩き続けるのだった。




*      *       *

勾菜へ
書くの遅れた上に短くてごめん;