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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.69 )
- 日時: 2011/04/15 22:00
- 名前: 翡翠 (ID: w4sGgUKI)
〜緤菜〜
あれから、どれだけの時間が過ぎただろう。
もう、何時間も暗闇の中に居るせいで、時間の感覚がなくなっていた。
「…私はここで息絶えるのかな…?」
ポツリとそんな、弱音が毀れる。
…いけない、意識だけはちゃんとはっきりさせていなくちゃ…。
そんな風に自分を叱責して、暗闇の中を見渡す。
暗視の術を己にかけているにも関わらず、視界は暗く何もない。
「いつまでも、ここで蹲ってるわけには、いかないよね…」
そうだよ、いつまでも、こんな場所で立ち止まっていたら麗菜にも顔向けできない。
…怪我、麗菜なら、きっと大丈夫、だから私はここから外へ、麗菜達が居る所へ帰るんだ。
決心して、一歩を踏み出す。
そのとき、遠くで緋色に光る、炎が視界を掠めた気がした。
「今のは…?」
その光は私にとって、出口への道しるべのような気がして、引き寄せられるようにその、暖かな光の方向へ歩き出した。
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