二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.74 )
日時: 2011/04/16 19:22
名前: 勾菜 (ID: 5dLFZzqu)

〜麗菜〜

いつも胸にあったわだかまりが消える。

牛鬼がタヒんだか…それとも…

*        *        *

あのあと、青龍に強制的に部屋に運ばれた。

相変わらず、瑠璃の玉飾りから、伝わる情景。
そして…母、燐菜のか細い声が脳裡に響く。
その言葉にハッと息をのむ。

目から涙が伝う。

「っ…うっ…」

袿で声を漏らさないようにする。
だが、とめどなくあふれる涙の前ではそれも意味がない。

「母様…っ…ぐっ…」

咽び泣く私の隣に青龍が顕現する。

「麗菜…」

それを聞くと、悲しみがあふれ出してくる。
抑えられない気持ちで心が壊れそうで。

「……」
無言で青龍が泣く私のそばに腰をおろす。
そして、不器用な手つきで恐る恐る頭を撫でてくれた。

それは、幼い時に母がしてくれたことにそっくりで。
思わず抱きついてしまう。

「青龍っ……」
「っ…泣きたいなら泣け…」
その言葉に最後の糸が切れる。

「うわぁぁっ!…母…さまがっ…」
「……」
その状態でずっと撫で続けてくれていた。

しばらくして、泣きやむ。
深呼吸をし、呼吸を落ち着かせる。

「…落ち着いたか。」
「…うん……ごめん…」
泣いたため、目が少し腫れぼったい。

「麗菜…」
「うん?」

少し迷って、青龍は口を開く。

「…宵藍」
「え?」
いきなり告げられた名。
つい聞き返す。

「…俺の二つ名だ。お前になら呼ばれてもいい。」
「そんな大切な名前…」
名前は一番短い呪、呪文。

「お前ならいいと言っている。」
「…わかったわ、宵藍。」

それを聞くと少しだけ表情が緩んだ気がした。
「…もう寝ろ。」
「うん…おやすみなさい、宵藍。」
「ああ。」

母を再び亡くした悲しみを乗り越えて。
心の傷を少しずつ、少しずつ。
癒していけるように。