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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.75 )
- 日時: 2011/04/16 20:40
- 名前: 翡翠 (ID: I8/Fw.Cz)
〜緤菜〜
鏡に映された情景と、脳裏に響く母様の声…。
…すぐには何が起きたのか理解できなくて、理解したくなくて思考が止まっていた。
認めたくなかった、母様が、また、私達の前から居なくなってしまう事実を。
そこまで考えが及んだとき、胸にあった違和感がなくなるのを自覚した。それと、同時に視界がぼやけて嗚咽と共に涙が溢れた。
「どう、して、かあさ、ま、が、嫌!」
涙で顔がぐしゃぐしゃになる。
ショックで立っていられなくなった私の身体を紅蓮の腕が支えた。
紅蓮は何を言うのでもなく、ただ泣き続ける私の傍に居てくれて、手をぎゅっと泣き止むまで握っていてくれた。
* * *
しばらく泣き続けて、ようやく落ち着いた私は紅蓮に言った。
「迷惑かけて、ごめん。だけど、もう平気だから、ここから出て、麗菜達の所へ帰ろう」
私の言葉に紅蓮はまだ何か言いたそうだったけど、私の気持ちを優先してくれたようで何も言ってはこなかった。
「問題はどうやって、元の世界に戻るか、だけど…」
呟いたとき、手鏡が再び瑠璃色に光だす。
そして、光が私達を包み込み、眩しさに瞼を閉じ、再び目を開けたとき、私達は元の、牛鬼達と争った場所に戻ってきていた。
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