二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.81 )
日時: 2011/04/23 19:00
名前: 翡翠 (ID: 0L0ONGC.)

〜緤菜〜

謝罪の言葉を繰り返す麗菜に私は一言、言った。

「もう、異界での事は忘れよう?全部、終わったんだから…」

言いながら脳裏に疑問が過ぎる。
忘れる?
麗菜や皆を傷つけた事を?

…忘れちゃうの?

忘れたら駄目なんじゃない?
だって、全て……

「 緤菜……?」

はっ!
麗菜の呼びかけで我に返る。

「ごめん、何でも無い。思ったよりも疲れちゃったみたいだから、私、部屋に戻るね…」

誤魔化す様に口にして逃げるように麗菜の部屋から出た。

…おかしい。

そんな風に思った。



*    *     :


その頃、昌浩の下に物の怪は戻っていた。

「あ、もっくん、おかえり」

白い姿を見つけた昌浩が穏やかな表情で言った。

「おう、ただいま…って、昌浩、お前何処かに出かけるのか?」

仮衣に着替える昌浩に物の怪は問いかけた。

「うん、ちょっと、じい様の御遣いで、地返しの大神の所まで」

昌浩の思いがけない返事に物の怪は大きな紅い瞳をぱちりと瞬いた。

「大神のとこには、六合と玄武が行ってるんじゃ無かったか?」
「そうなんだけど…どう言う訳か六合や玄武達と連絡が取れないんだ」
「連絡が…?」

昌浩の言葉に物の怪は考え込む。
そして、言った。

「それが本当なら、お前が向かうのは危険すぎるだろ」
「それは、そうなんだけど、朱雀と天一もついて来てくれるから大丈夫かなって」
「昌浩、お前はっ……」

物の怪が更に言い募ろうとしたとき、天一が顕現して言った。

「昌浩様、そろそろ出発いたしませんと…」
「あ、うん。そう言う訳で、もっくんはお留守番よろしく!」
「あ、おい、こら、待て、昌浩ーー!」

物の怪の怒号もスルーして昌浩は天一達と共に地返しへと向かった。






——地返し、其処で新たな事件が起きているとも知らずに……