二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.90 )
日時: 2011/05/06 15:03
名前: 翡翠 (ID: C1yvORdk)

〜緤菜〜

晴明様の文を拝見した後、私達は急ぎ足で道反の道のりを駆けていた。
足を速めたおかげで道反に予定より早くついた。
早くと言っても既に日は落ち月が空へと昇り始めているけど。

「此処が道反…」

正常な霊気を肌で感じながら、聖域の中へと足を進めていく。
そんな時、聖域の中から女の人の声が聞こえてきた。

「神気…という事は貴女達が麗菜さんと緤菜さんね?」

突然名前を当てられて、驚く私達の前に声の持ち主であろう女性は姿を見せた。長い漆黒の髪を後ろで一つにまとめた後左右に分けて結んでいる。服装は巫女服に酷似した衣で裁ちだ。

「そういう貴女は……」

服装から考えてこの道反の巫女である事は分かった。

「私は風音。道反の大神の娘よ、貴女達二人のことは晴明殿が事前に式を飛ばしてくれたから聞いているわ。中に案内するからついて来て」
「あ、はい」

風音と名乗った女性の後を私達はついて行く。
…しばらく歩いたところでもっくん…紅蓮が口を開いた。

「おい、昌浩はまだ此処に来ていないのか?」

不機嫌ともとれる低い声で風音さんに問いかける。

「昌浩はまだ此処には来ていないわ。今、彩…六合が周辺を探しに行っているところよ」
「……そうか」

二人の会話は其処で終了する。
何となく二人の短い会話を聞いていて思った。
この二人…何処か余所余所しい気がする、と。
上手く言えないけど互いに何かしら思っている事がある様な……。

「おい、早くしないと置いていくぞ」

紅蓮の声でハッとする。
どうやらいつの間にか立ち止まって思考を巡らせていたらしい。
さっきまで隣を歩いていた麗菜達との距離は思ったよりも開いていて、私は前を歩く皆の下へと駆け足で向かった。






*      *      *

勾菜へ

風邪だったんだ、大丈夫?
無理しないでね。