二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.97 )
- 日時: 2011/06/03 22:57
- 名前: 勾菜 ◆QyplZtgIXg (ID: MLDU0m30)
〜麗菜〜
「あ…みんなきたわね。それじゃあ行きましょうか。」
風音がそのまま案内していく。
宵藍…そんな顔しないでよ。眉間のしわがとれなくなるわよ?」
苦笑しながら言うと、さらに不機嫌そうな顔をする。
「ほおっておけ。」
「もう…」
そのまま風音に案内されながら、進んでいくと道反大神と道反の巫女が並んで立っていた。
「ここよ。」
そう言われて、一歩踏み出し、面を伏せ深くお辞儀をする。
「お初にお目もじつかまつります。緋月麗菜と申します。このたびは聖域へのご滞在を許していただき、とても感謝しています」
そう言い終えると大神が驚いたような気配がした。
「緋月…あなた方があの方の…」
「大神よ、それは…」
「わかりました。さて、昨晩なにかあったようですが…お話しいただけますか?」
「はい。…廉狼と名乗るものが入り込んでいたようです。廉狼は何者かに使わされてこちらの様子を探っていたようでした。」
そうつげると大神は瞠目する。
「なんと…っ…まさか…」
それ以上言葉が続かない大神を見て私はふっと微笑む。
「大神、私たちはここに滞在しているもの。ですから、この聖域に起こることにはできる限り協力しましょう。
それが、我が父と母に言われたことです。遠慮は無用ですから。」
「…ありがとうございます。」
傍らの宵藍が怪訝そうな気配をしていたがそれは黙殺した。
* * *
「ねえ、麗菜。」
「なぁに、かあさま。」
あれは緤菜が熱を出した時だったか、このことを母に言われたのは。
「あのね、麗菜たちの父様はね、神様なのよ。」
「かみさま?えらいひとでしょう?」
首をかしげてそういうと微笑を浮かべて燐菜はうなずく。
「そうよ。偉い人。」
いったんそこで、母は言葉を区切り私の目を見つめたのだ。
首をかしげる私に母は、一言一言、言葉をきって言い聞かせた。
「麗菜、よく聞きなさい。麗菜と緤菜は神様の、血をひいているわ。
でも、その血は麗菜のほうが強いの。…緤菜もきちんと継いでいるわよ。
麗菜は血が強いから、闇に引きずられてしまう可能性があるの。だから、決して闇のものに耳をかしてはいけないわよ。
わかった?」
「うん。せつなには、おはなし、しないの?」
そう問うと、困ったような笑みを母は浮かべた。
「緤菜には内緒。麗菜がしっかりしてるから、緤菜は大丈夫よ。」
「れいなとかあさまのひみつ?」
「そうよ。約束ね。」
「うん!」
二人だけの秘密、それがすごくうれしかった。
でも、それが今とても重い。
これが、母様の言いたかったことなのか。
そんな風に考えてしまう。
麗菜の心は、少しずつ、だが確実に闇へと囚われつつある。