二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜15話更新 ( No.23 )
- 日時: 2011/12/25 17:32
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
16話〜始まりを告げる終わり〜
—ガチャ—
「あ、ミラジェーン!シャーナは!?」
「大丈夫、安心して。今は落ち着いて眠っているわ」
依頼から急いでフェアリーテイルに戻ったシトたちは直ぐに医務室へと運んだ。
そして今、治療を行っていたミラが扉から出てきた。
それに直ぐにシトが喰いつきシャーナの状態をミラに聞くと、
ミラは落ち着いた様子でシャーナが無事な事をシトに報告した。
「よかったぁ」
シトが安堵の息を漏らす。隣でサクラも安心した表情を見せる。それに対しミラは顎を摘まみ考え込む様子で口を開いた。
「でも不思議よね。体には大分ダメージが溜まってたようだけど、
シトの言ってた通り体には殆ど傷が無いなんて」
「それは僕たちにも分からない」
突然傷が消えた事はミラとマスターには報告したが、二人にもよく分からないようだった。
「取りあえず、あななたちも休みなさい。疲れたでしょう?」
ミラはそう言うと、さあさあと二人の背中を押し酒場の方に追いやった。
酒場へと続く扉をシトたちが潜るのを見てから、ミラは小さく息を吐いた。
「シャーナに会いたい、なんて言われたらどうしようかと思ったけど、大丈夫そうね」
ミラはそう呟くと、医務室の扉を開けた。そこには誰もいない。
窓が開いていて、カーテンが風でユラユラと揺れているだけだ。
「ダメージはまだ抜けきっていないのに・・・・・・。無茶しなきゃ良いけど」
そう言うミラの顔は心配はしているが、安心しきっている。そんな表情だ。
実際のシャーナは一体今どこにいるのかと言うと
——————————魔法開発局(支部)——————————
「うわあぁぁぁあああ!!!」
「ぎゃああああああああああああ!!」
「た・・・・・助け・・・・・」
「助けない」
「ぐぎゃあああ!!」
ここにいた。魔法開発局支部。今回の依頼の届け人がいる施設だ。
「あ・・・・あなたはフェアリーテイルのシャーナ。どうしてあなたがここに!?」
「そりゃあ、あなたたちが寄越した暗殺ギルドの人が依頼失敗したからじゃない?」
笑顔で語るシャーナとは裏腹に冷や汗ダラダラで引きつった表情をする研究員。
「一体・・・・・なんのことです?」
「しらばっくれても無駄だよ。ほら・・・・」
「そ・・・それは!!」
シャーナが出したのはアキが持っていた。重力操作を可能にする鍵の劣化版。
「『それは』?」
「あ・・・・・いや・・・・」
この鍵を見せてのこの反応。これで完全にここが黒だと言う事は判明した。
「じゃあ最後に1つ程言わせてね。
今度私に暗殺寄越す時は、フェアリーテイルを馬鹿にしない人の方がいいよ」
—ドーーーーーーーーーン!!!!—
「よし!早くフェアリーテイルに帰ろう。ミラに無理言ってきちゃってるから」
崩れ落ちた施設を確認した後、シャーナがその場を去ろうとした時
「目標発見」
「!!誰!」
後ろから声が響き振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。
(気配なんて全く感じなかったのに、今感じるこの魔力は何?)
「直ちに捕獲に・・・・・・」
「まってメルディ」
シャーナに向かいそうになった少女。そこにまた一人女性が現れて
その少女を止めた。メルディと呼ばれた少女はその女性の顔を見ると、顔をぱっと明るくさせた。
「ウル!・・・・・・・・あ」
だが、直ぐに暗い表情に変えて申し訳なそうな顔をした。
「ごめんなさい、ウルティア」
「いいのよ。それよりもよく見つけたわね。でも、一人で挑もうとしたのは感心しないわね。
命令はなるべく傷付けずに連れて帰ること。いくらあなたでもこの女を一人で相手にするのは大変よ」
「そうそう。それに一人占めはだめっしょ。俺っちにもやらせろっての」
「命令を聞いていたかねザンクロウ。我々は戦いに来たのではないのだがね」
「ウーウェ。じ・・・・自分はどっちでもいいすよぉ・・・・」
「命令を速やかに遂行すること。それが我らが主の望みだ」
「砕け散る岩壁の音。それはオレたちに導く嘆きの歌声」
次々と現れる人たち。その一人一人がとんでもない魔力を放っている。
「目的は何?私に何か用みたいだけど?」
シャーナの言葉に先ほどメルディを止めたウルティアと呼ばれた女性が前に出た。
「私たちと一緒にマスターの所に来てほしいのよ。我らがマスター。
マスター・ハデスのところにね」
「マスター・ハデス!?」
シャーナはその名に聞き覚えがあった。
闇ギルドの三大勢力・バラム同盟の一角、『悪魔の心臓(グリモアハート)』のマスター。ハデス。
(じゃあ、こいつらも悪魔の心臓のメンバー?何で私を・・・・・)
「どうしたの?ついてくるの?」
「嫌だと言ったら?」
「ふふっ、可笑しなこと言うわね。あなたも分かってるでしょう。選択肢は
『素直に着いてくる』か『ボロボロになって連れてかれる』かしかないわよ?」
「実質は一つだけどね・・・・・・」
シャーナはそう言うと、観念したように手をあげた。
「はいはい。素直に着いていきますよ」
「素直で結構よ。それじゃあ、行きましょう」
こうしてシャーナは悪魔の心臓に連れてかれた。
——————————フェアリーテイル——————————
「良かったね、シト」
酒場で食事をしていたシトに隣に現れたのサクラ。そして隣に座っても良い?
と言う雰囲気を出し、それにシトはそれを感じ少しずれて隣に席を空ける。
それを見てサクラはシトの横にちょこんと座った。
「一時はシャーナ、どうなるか分からなかったけど」
「うん。何かよく分からないけど傷が消えたのが大きかったのかな」
突然傷が消えた原因は全く分からないが、そのお陰でシャーナが助かったのは大きなことだ。
それについては素直に喜ぶ二人。と、そこで
「ねぇ、今シトのチームってシャーナだけだよね?」
「うん。そうだよ」
「じゃあ、私もそのチームに入れて」
「え?急にどうしたの!?」
突然の申し出に困惑するシト。それにサクラは微笑を浮かべると人差し指を立ててシトの中心に突き立てた。
「ハクナ」
「・・・・・・花言葉は?」
何となく、サクラのペースが分かってきたシト。だが、シトの言葉に僅かに答えずらそうな顔をするサクラ。
だが、直ぐに何時もの表情に戻ると
「何時までも続く楽しみ」
つまり要訳すると、二人とチームを組めば楽しくやっていけ様な気がするから。ということらしい。
シトもそう思い頷く。
「うん、いいよ。それじゃあ、これからよろしく」
「うん。よろしく」
サクラは最後にそう言い残すとその場を去って行った。何故かその顔は僅かに赤み帯びていた。
(言っちゃったなぁ)
心の中でそう呟くサクラ。
先ほどの花言葉は実は嘘。本当の花言葉は・・・・・