二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜3話更新 ( No.8 )
- 日時: 2011/03/01 14:56
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
4話〜見えてくる真相〜
——グオオオオオォオオォォォォオ!!——
外見は熊のようだが、所々金属の鎧を纏い、呼吸はとても荒々しい。
その他にもいくつか見た目の変貌はあるが、口では説明しづらい。
一言で言うと、見ていられない姿だ。
「な・・なんなのこれ!?」
目の前の光景に僅かに後退りするシャーナ。
「声が・・・聞こえない・・・・・」
「声?」
シトの呟いた声に、シャーナは聞き返した。
「声って?」
「このモンスターから声が聞こえないんだ。一体なんで・・・・」
——グオオオオオォオオォォォォオ!!——
と、そこでモンスターが二人に向かって突っ込んできた。
「ああん!もう!!考えは後!!とりあえず今はこのモンスターを倒すよ!!」
シャーナはそうシトに、そして自分に言い聞かせた。
「ディス!!」
シャーナは手を前に翳しそう言った。それに合わせてモンスターの周りの地面が凹み、
モンスターの動きが鈍る。その場から逃れよようとするが、10倍の重力がそれを逃がさない。
「シト!今のうちにあいつを!!・・・・・シト?」
シトに呼びかけたが、シトがその場から動こうとしない。それどころか震えているのを見てシャーナが尋ねた。
「どうしたの!?」
「・・・・・ううん、何でもないよ。・・・ごめん。少し眠ってて」
シトはそう言うと息を大きく吸い込んだ。
「ゼロ!」
シトはそう言うと息を思いっきり吐いた。すると草が、地面がモンスターの方へと進みながら忽然と消えていった。
そしてそれが、モンスターの目の前まで迫ったところでモンスターが突然動いた。
「え!?」
突然の事に驚くシャーナだが、そんな事は言ってられなかった。
モンスターはシャーナの真上を取り、隕石の如く落下してきたのだ。
「レイ!」
シャーナは僅かに地面を蹴り体を宙に浮いた。そして落下してきたモンスターの風圧で
なんとかその場を離れた。
「何であの重力場から抜け出せたの?」
「たぶん、僕のせいだと思う」
シトはそう呟くと続けた。
「僕の魔法があれに当たる前に、重力場を消しちゃったんだ」
「・・・・何なのそれ?もう・・・」
シャーナが呆れたようにため息をつく。
「しょうがないでしょ。魔法に魔法は有効なんだから。僕の魔法は基本無差別だから・・・」
「・・・だったら、これならいけるよね?」
シャーナがそう言うと、手の構えが長い棒を持っているかのようにした。
「重枷の槍(グランディ・フェダー)」
そう言うと現れたのは、実態を持たない槍だった。
「レイ」
シャーナは綿のようなふんわりと、電光石火のスピードでモンスターに詰め寄りその槍で切った。
だが、なぜか切られた部分からは出血がなく至って無傷だった。だが、
「先ずは、左手」
シャーナはそう言って切った場所に指を指す。すると、モンスターの切られた左手が垂れ下がった。
と、言うより持ちあがらなくなったと言った方が正しいかもしれない。
「『切った四肢の重さを倍』にしてくのがこの重枷の槍の力。
今のすれ違いで二度左手切ったから、その腕は何時もの4倍の重さになってるってこと。
おまけに・・・・」
——ズバババババババ!!!——
「これで四肢全部の重さが16倍。さっき10倍で動けんなくなってたから十分よね」
シャーナの言うとおり、モンスターの四肢は地面にめり込んだ形になってビクとも動かない。
「これなら、君の魔法も私の魔法に干渉しないで倒せるよね?」
「うん。まあ・・・・」
シトはあまり乗り気ではないようだったが、モンスターの真上にジャンプすると先ほどと
同じような仕草をした。今度はモンスターは動かずにそのまま消えた。
シトは地面に着地すると、その場で大きく息を吸い込み飲み込んだ。
「何してるの?」
「滅竜魔導士は同じ属性のものを食べると力が回復するのは知ってるよね?」
「うん。まあ、ナツがよく炎食べてるね」
人差し指を顎に当て、思い出すようにシャーナが言った。
「僕は何かを消滅した時に出る、特別な気を食べることで回復するんだ。
人が倒した動物の肉を食べるのと似たようなものだよ。・・・ふ〜〜。御馳走様」
「その消滅した時に出る気?って普通の人に何か影響出るの?」
「何も。ただ、僕が魔法使えば空気も消滅することになるから、酸欠になることはあるかもね」
「そ。それは気をつけないとね。それよりも今のモンスターなんだったのかな?」
シャーナがそう先ほどまでモンスターがいた場所を眺めながら言った。
「自然界のモンスターじゃあ・・・・なかったよね?金属纏ってたりしたし・・・」
「人工的なモンスターってこと?でも何のために?」
「さあ。そこまでは・・・・」
シャーナはそこで言葉を切ると、鋭い目線で茂みを見た。
「さっきからそこで見てる人たち。そろそろ出てきたらどう?
ばればれな上、そんな殺気を向けられたら我慢出来ないんだけど?」
「え?」
シトが目を向けるとそこから二人、茂みから飛び出してきた。
一人は知的な男性。もう一人は野生的な感じと違和感ある二人組だ。
「貴様がそんな殺気立ててるからだぞ。ギャリナ」
「キヒヒ。そうは言ってもよナド。あんなもん見せられたら仕様がないだろうが」
ギャリナと呼ばれた方が不気味な笑みを浮かべながらシトを見た。
「あなたたち、だれ?」
シャーナがそう言うと、ナドが一歩前へ出た。
「申し遅れました。私たちは『自然災害(バイオハザード)』という闇ギルドの者です。
私はナド。そしてこちらはギャリナです」
「どうして私たちを見てたのかな?」
シャーナがさらに問い詰めると、ナドは滅相もないと言った感じで首を振った。
「あなたたちを見ていたわけではありません。私たちは先ほどまでそこにいた実験体を観察していただけですよ」