二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 卍ONE PIECE 空翔ける海賊. \レス100達成/ ( No.144 )
- 日時: 2011/02/18 17:36
- 名前: 柚麻 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
- 参照: ONE PIECE激ラヴ(^ω^) 海賊王におれはなるのよ、←
第31話〆 ヴィル×ルフィ
「綺麗な町ね」
サバイバルゲームのついでに小さな街に寄り、ぶらぶら買い物を楽しんでいると、ルフィが言った。
「肉が食べたい!」
ロリはため息をつくと、「ちょっと待ってて」と言って買ったものをルフィに預ける。
「空歩——……空固!」
空から全体を見渡すと、煙の出ている家が数件——その中から、肉が描かれている看板を見つけるとロリは下り立つ。
「……見つけた」
袋を返してもらい、進みだすロリ。
ルフィは黙ってついてきている。
お腹が減りすぎたのかよろよろとついてくるので、ロリは少し早足になる。
「んー、良い香りするね!」
言いかけたロリを押しのけて飯屋へ直行するルフィ。
ロリはお金を確かめると、自分も入っていった。
其処は小さな酒屋のようなところで、肉を焼くジュージューという音と皿とフォークの触れ合うカチャ、という音以外は何も聞こえない。
ロリ達は骨付き肉を頼んだ。
「腹減ったなぁー」
ぶすっとしてルフィが言う。
既に手にフォークとナイフが握られている。
「そうだね」
「客、少ねぇな」
辺りを見回してルフィが言う。
ロリも少し体を浮かせて周りを見ると、成程数名ほどしか食事をしていない。
「ディルを恐れているんだよ」
骨付き肉を皿にのせて持ってくる主人。
横にソースの入っている小瓶も、皿の上を移動しながら机に置かれた。
「ヴィル——ヴィアル・クロウディのことですか?」
器用にフォークを使いながらロリが言う。
「何だ、そのビアルクローとかいうの」
骨の3分の2程を口に入れたルフィが聞いた。
ロリは懸賞金リストを取り出すと、暫く捲っていたが、見つけたのかルフィに差し出す。
「懸賞金4億ベリーの大物。——ヴィアル・クロウディよ」
「強ぇのか! 戦ってみてぇなー」
主人が慌てて会計の紙を置くと小声で言った。
「あんた麦わらだろう? ヴィルの名を出さないほうがいい! あんた死ぬぞ」
ルフィはムッとした顔で言い返そうとしたが、骨が喉に痞えて喋れない。
ロリが引き抜くと叫んだ。
「おれは誰にも負けねぇ!!」
「生憎、私こいつより懸賞金高いの。負ける気がしないわ」
ロリもリストから自分を選ぶと主人に見せる。
「……勝手にしな!」
主人が言い終わると扉がバンッと開く。
「……誰だい、おれの名を出した奴は?」
黒髪の男——ヴィアルだった。
ロリは肉を置くと、構える。
ルフィはもぐもぐと食べ終えて、声をかけた。
「お前か、ビアルクローとかいうのは!」
「おれの名前は、ヴィアル・クロウディだ」
湿らせた手を差し出すと、水が滴り落ちる。
「死ぬか?」
切れ長の目が、すっと細くなった。
ロリは椅子を蹴って立ち上がると地面に着地すると、空銃を構えた。
「……悪いな、空気じゃ勝てねぇ」
水の弾丸のようなものが飛んできた。
「空固!——何これ、氷?」
かろうじてなぎ払うと、氷の破片がパラパラ落ちる。
「……ゴムだって刃物は返せないだろ?」
腰から短刀を取り出すヴィル。
水面を切り取ったようにゆらゆらと揺れている。
「じゃあ私がお相手するわ」
前に飛びだすロリの横で、主人が机を盾に震えている。
うざったいので机を破壊してからヴィルに向き直ると、振りかぶって走り出したヴィルが見えた。
「変速奥義……空斬!」
咄嗟に両手を突き出すと、斬撃は綺麗に消えた。
「……変速か、久しぶりに見た。——でもな、これは水の剣だ。斬られても斬られてもくっつく」
「成程ね。……じゃあ空気で対応しなきゃいいんでしょう?」
じゃあどうするんだ?という顔のヴィルに向かってロリは叫んだ。
「——空咲!」
両手を広げると、そこにあった圧力がなくなる技——空咲を使い、剣技を封じる。
只、訓練途中で6秒が限界な技だ。
「……ご免ね」
両手を塞いでいるので足で脇腹に蹴りを叩き込むと、体勢を崩すヴィル。
それを目ざとく見ると、両手を解放して空銃を撃った。
「空銃!」
「——氷柱斬り」
ふいに声がして、頭を右に向けると頬に血が滲んだ。
氷柱の塊が頬を掠めていったのを知ると、ロリはもう一発撃ち込む。
「……ったく、だからDの意思を持つ者は嫌なんだ」
その言葉を言い残して、ヴィルは倒れこんだ。
「あーくそ、負けた」
前髪をかきあげて言うヴィル。
ルフィは面白そうに笑うと、ヴィルに手を差し出した。
「だから負けねぇって言っただろ? でも、お前強いからおれの仲間になれ!!」
あっけらかんと言うルフィに、ヴィルの無表情だった顔が歪んだ。
それは初めて「表情」といえるほど、ヴィルは無表情だった。
「おれを仲間に……だと?」
鋭い返事が返ってきた。
ルフィは「おう」と言うと、ヴィルをたたせる。
「悪いな、おれは——無理なんだ」
悲しそうに言うヴィルに、ロリは微笑んだ。
「船長命令。」
空銃を当てた右腕を取ると、「とりあえず船に来てよ」と半ば強引に連れ去って行った。
「……あいつら、化け物か……」
主人は腰を抜かして言うが、もっと恐ろしいことに気がついた。
「あいつら金払ってねぇ!! 海軍呼べ、海軍!」
顔を真っ赤にして叫ぶ主人に、周りは只呆然とするだけだった。