二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 卍ONE PIECE 空翔ける海賊. \レス100達成/ ( No.151 )
日時: 2011/02/19 20:17
名前: 柚麻 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
参照: ONE PIECE激ラヴ(^ω^) 海賊王におれはなるのよ、←

第32話〆 引き込み


「ただいまー、ナミ!」
「お帰り……ちょっと、あんた! その後ろの、水神じゃない!?」

ヒステリックな声を出して、ナミが叫んだ。
ロリは首を捻ると、ヴィルを見た。

「水神?」
「お前、知らねぇのか……おれは、水神と呼ばれて恐れられてる」

強引に掴まれた右腕がそろそろ麻痺してきたヴィルは、ため息。

「おい、もういいだろ。帰る」
「だめだ! お前はおれの仲間なんだよ!!」

ルフィがじたばたして暴れるが、ヴィルに睨まれて止まる。

「……手当てして、話を聞いて、それでも嫌なら……帰ってね?」

目が笑っていないロリを見て、ヴィルは冷や汗をかいた。
——女のほうが、男より強ぇのか……そういう意味を込めて、またため息。

「決定! チョッパー君、手伝って」

水神を恐れてまずツンツンと触ると、チョッパーは急いで医療室へ連れて行った。


「いいっつったのによ」
「駄目なの。右腕損傷、頭部打撲、足の骨1箇所骨折——これで帰らせるわけないじゃないの!」

部屋の窓から恨めしそうにこっちを見ているサンジを追っ払ってからロリが言う。

「何で分かるんだよ。化け物か」

そっぽを向いて言うヴィルに向かって、また笑うロリ。

「そうなるように仕向けたの」

笑顔のまま言うところが、更に怖い。

「……ロリ・ディーテ、お前は悪魔か」
「失礼な人! あたしはロリ・D・イーテ。間違えないでほしいわ」

チョッパーが包帯をぐるぐる巻き終わると立ち上がるヴィル。

「んじゃ、帰るわ」
「何言ってるの。まだ話を聞いてないわ! ルフィさん、入ってきて」

面倒くさそうに座りなおすと、頬杖をつく。

「何で海賊になりたくないの? 本当のこと言わないと骨折るからね」

空銃を構えて優しく言うが、ヴィルは慌てて止めた。

「分かったから、その手収めろ! 集中出来ねぇ」

大人しく収めると、ヴィルが口を開いた。

「双子の兄ちゃんが、殺されたんだよ。海賊にな」

ルフィは立ち上がるとチョッパーを外に出した。
今のことを話さないよう言ってから甲板に出す。

「……知ってるか? 黒ひげ海賊団を」
「勿論。……知りたくなくても知ってる」

ロリは頷くと、目線を床の木目に移した。

「お母さんも、倒されかけたから……」

ヴィルは少し驚いたような顔をして、呟く。

「お前らには、本当のことを話したほうが良さそうだ」

壁にかけられた時計が、カチコチと音をたてて進む。

ロリはゆっくりと開かれるヴィルの口を静かに見つめた。