二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 卍ONE PIECE 空翔ける海賊. \レス100達成/ ( No.159 )
- 日時: 2011/02/21 18:07
- 名前: 柚麻 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
- 参照: ONE PIECE激ラヴ(^ω^) 海賊王におれはなるのよ、←
第34話〆 出航*
静かな甲板にリゾートチェアを出して、お茶を注ぐ。
コポコポと音を立てながら湯気を出す紅茶。
「はい、チョッパー君」
ロリは自分も腰掛けると、チョッパーに渡した。
「あー、疲れた。あの顔、結構疲れるのよ」
「何がだ?」
紅茶をフーフーと息で冷ましながらチョッパーが聞く。
「ヴィルを誘ったときの顔! 強気って言うのかな? そんな顔」
カップを置くと、少し真剣な顔をするロリ。
チョッパーは吃驚した様子で紅茶を吹き出した。
「あれ、演技だったのか!?」
「勿論。私、あんな顔を一日中してられるほど忍耐強くないわ」
チョッパーは手元の布巾で零した紅茶を拭き取ると、尊敬の眼差しでロリを見た。
「すげぇなー! おれ、窓から見てたけど普通だったぞ!」
そんな他愛無い会話をしながら、ロリは力が抜けそうになるのに耐えていた。
3日に一度、内なる自分が自分を喰う——身っ喰いの症状が始まった。
最初の波を通り過ぎれば、あとは楽だ。
それに、今一番楽しんでいるチョッパーとのお茶をやめたくなかった。
「……そっかー、ドラムは冬島なのね」
「寒いけどな、桜が咲くんだ! おれの恩人が、咲かせてくれたんだ!」
にこにこした顔で言うチョッパー。
ロリは笑いかけると、小さな声で言った。
「チョッパー君、薬頂戴」
「え……っと、あぁ……」
成るべく皆に知られたくないので、小声で言うと、チョッパーは椅子から飛び降りて医療室へ向かった。
甲板は妙に暑く、じっとしていると蒸し暑くなる。
かといって動けないので、チョッパーにもらった薬を飲んで、紅茶を飲み干した。
「最近、多くないか?」
「でも、この数が丁度良いのよ。体の負担も減るし、……癒えるし」
チョッパーは仕方なく薬を渡すと、周りを確かめて頷いた。
ロリは海のほうをパッと見て、一気に薬を口に放り込んだ。
「おれ、カップ片付けてくるよ! その間に歩けるようになるだろ!」
ぴょこん、と飛び降りてカップを持っていくチョッパーの後姿を見ながら、ロリはため息。
「気をつかわせちゃったかな……」
「ん、ロリ! またあの病気か——んぐっ!」
ルフィが近づいてきて、危うく皆に聞こえるところだったので、ロリは口を塞ぐと言った。
「だから、それ言わないでよー! 指輪もらうからね!」
ルフィの気に入っているゴール・D・ロジャーのリングを指すと、ルフィは片方の手でリングを隠すと慌てて言った。
「分かった、言わない! でも、しんどかったら言えよ!」
「なにしてんの、ルフィ」
ナミがマストの影から身を出した。
ルフィは慌ててナミを遠くに離して行った。
「……え、出航すんのか!?」
「そうよ、もうすぐログ溜まっちゃうから、早く出ないと。ヴィルも入ったしね」
ロリは突然の事態に身を浮かせようとしたが、まだ手に力が入らない。
その後ろのほうで寝ていたゾロが見かねて立ち上がらせると、ルフィに向かって叫んだ。
「ルフィ、出んのか?」
「おう! じゃ、野郎共ー、次の島に向かって……出航!!」
ルフィの澄み切った声が、船に響いて、消えた。