二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 卍ONE PIECE 空翔ける海賊. \レス200達成/ ( No.212 )
日時: 2011/03/08 17:47
名前: 柚麻 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
参照: ONE PIECE激ラヴ(^ω^) 覇王色に憧れる、←

第47話〆 アンジール=リィフ


「……あら、誰?」

目をこすって起き上がる女。
眠っていたのだろうが、この檻の中その言葉が出てくるとは思わなかった。

「デリ・D・イーテよ。貴方を解放しにきたの」
「なら、寝かせといてくださらない? 出ようと思えば出れるから」

また寝転がる女に向かってデリが言う。

「分かっていますよ、アンジール=リィフさん」
「……私の名を知っているのですね。なら尚更です……——消えてください」

女——リィフが静かに言った。
デリは気にもせずににこりと笑って問いかけるように呟いた。

「貴方の秘密をばらまいてもいいのね……元奴隷さん」
「何故それを……!! 一体、貴方は誰ですか!?」

デリは他の檻から奴隷を解放しながら答えた。

「言ったでしょう。デリ・D・イーテ……海賊よ」

リィフは小さくたたんでおいた賞金首リストを取り出し、捲った。

「……懸賞金5億ベリー、海界の覇気使い……」

リィフは暫く黙って奴隷を解放し続けるデリを見ていた。
だが行き成りバッと顔を上げると、鎖と手錠を引きちぎった。

「状況が変わりました。貴方、私を逃がしてくださらない?」
「ええ、勿論。仰せの通りに——」

多くの奴隷達が歓声を上げて逃げていく。
奴隷達の流れと反対に歩いてくるのは、頬を赤色に染めたジョーカーだった。

「ったく、手ごたえねぇ奴らだな! ついでだから、残りの奴らも片しておいた」
「んっ! ご苦労様です、ジョーカー」

「今更感謝されてもな……」といいかけたジョーカーの言葉が止まった。

「誰だ、そいつ」
「船長、無知にも程があります。アンジール・リィフ……キギキギの実の能力者で、懸賞金5億ベリーの大物ですよ」

クインがデリを手伝いながら答えた。
ルキもジョーカーの通ってきた道から走ってくる。

「あら、歌姫じゃない」
「……その能天気な声は、ルキね。お久しぶり」

ルキがマントを剥ぎ取る。

「久しぶりじゃないわよ、19年よ19年! 連絡もよこさないで!」
「ご免なさいね、ちょっと都合で」

微笑ましい顔で言うリィフ。

「ん、ルキの知り合いか?」

ルキを超える能天気な声でジョーカーが2人の顔をじろっと見る。

「お初にお目にかかります。アンジール・リィフと申しますわ」
「別に興味ねぇんだけど、ここは名乗るべきなんだろうな。おれはジョーカー・D・イーテ」

握手をすると、すぐにデリの腕を掴んで出口に引っ張っていくジョーカー。

「ほら、早く逃げるぞ!」
「あぁ、待ってよジョーカー。全く、人の話を聞かないで!」

ジョーカーの倍以上に人の話を聞かないデリから言われ、ショック死寸前のジョーカー。
それほど落ち込むくらい、デリはいい加減だ。

「あの子も連れて行くの!」
「はぁ? 寝ぼけたか?」

ジョーカーは呆れて言ったが、デリはリィフの腕を強引に掴んで歩き出す。

「待ちなさい、デリ・D・イーテ! 私、まだ承知していないんです!! 離しなさい!」

デリに何を言っても無駄なことを悟り、リィフは暴れるのをやめる。

なるようになればいい——命も、言動も。
青空の下で、リィフはため息をついた。