二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 卍ONE PIECE 空翔ける海賊. ⇔コメ200達成! ( No.217 )
日時: 2011/03/12 17:36
名前: 柚麻 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
参照: ONE PIECE激ラヴ(^ω^) 覇王色に憧れる、←

番外編 Ⅰ

デリ×ジョーカー ■インペルダウン編①■


明日は在るのかさえも忘れ去る地獄——大監獄インペルダウン。
デリはレベル6で海楼石と戦っていた。

「ったくもう、迷惑よね! 新開発した海楼石をはめさせるなんて……私は実験台じゃないのよ!」

ぶつぶつと言う声は、全く死を覚悟していないらしい。
この監獄で明るい声を出せるのは、Mr,2——ボン・クレー以外にいるだろうかと思わせる程の明るい声だった。

「大体ね、あの半端な"洗礼"は何よ! 日照り人間の私にとっては、微温湯かと思ったわよ!」

半分怒った声を上げて、鎖を弄るのをやめるデリ。
手錠から流れ出した赤い雫は、静かに冷たい床に落ちる。

「レベル6は静かで良いところだけど、……もうすぐ平穏はなくなるわ」

署長——マゼランから聞いた言葉を思い出すデリ。

『あと3日もすれば"七武海"海峡のジンベエ、5日すれば"白ひげ海賊団2番隊長"火拳のエースが投入される』

その言葉がデリの脳内をぐるぐると駆け巡る。

「ジンベエザメって、美味しいのかな?」

とぼけた言葉を聴いて、隣にいた女が吹き出した。

「何言ってるのよ、あんた。ここにいる限り、ジンベエザメなんて見れるわけないじゃないの」
「あ、——リズ。起こした?」

かつての懸賞金3億ベリーのベグリア・リズが笑った。

「起きてたの。まぁ、あたしなら見れるかもね! 明日処刑だし」
「怖くないのね」

しれっとしてデリが尋ねると、リズは失礼な、というような顔をした。

「ちょっとは怖いわよ! でもね、私はもうすることないからいいの。」

微笑んで静かに言うと、リズは目を閉じた。

「処刑されるくらいなら、自分で死にたいよ。人の命何だと思ってんだよ、あの署長はぁ」
「罪人は消す——それしか無いんでしょ? 無駄よね」

デリは自分と重ねて、慎重に答える。

「ま、今まで有難うって言っておくよ! と言っても、食べ物をとられたことくらいしか記憶にないけどね。」
「新入りが何言うのよ。贅沢ー!」

最後の最期までおどけて言うと、リズは3秒程黙っていた。

「あんたは逃げなね、デリ。あんたは生きなくちゃいけないから……」

呟いて、門に目をやるリズ。

「ほら、お迎えが来た。——じゃあね、監獄の相棒!」
「……元気で」

「死ぬ人に元気でなんて言わないでよ」と苦笑して言うリズは、マゼランによって連れ去られた。
デリの頬に、一筋の涙が零れた。


「デリ、起きろ! ったく、こんな時に! デリ!!」

悲しんで何時の間にか寝ていたデリはたたき起こされた。
新しい囚人かと思えば、海楼石を付けていない。

寝ぼけた頭でその声の主をちろりと見るが、すぐに叫んだ。

「ジョーカー!!」

監獄の中にその声が響いて消えた。