二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 卍ONE PIECE 空翔ける海賊. ⇔コメ200達成! ( No.243 )
日時: 2011/03/24 18:45
名前: 柚麻 ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
参照: ONE PIECE激ラヴ(^ω^) チョッパーの映画泣いた@

第52話〆 ルフィの帰還


「たーだいまー!! ロリ、見ろよ! ヘラクレスにミヤマに、オオカブト!」

帰ってくるなり何個あるのか分からないほどの虫篭をロリに見せまくるルフィ。

「あの、ルフィ……お客さんが……」
「こっちがゾウカブトだろ、んで——……ん、客ぅ?」

説明する手がぴたりと止まり、周りをきょろきょろと見回すルフィ。

「甲板に……いるんだけど」
「おっしゃ! 賞金稼ぎだったらぶっとばしてやる!」

わけの分からない気合を入れて甲板に飛び乗ると、リィフが不機嫌そうに言った。

「ぶっとばさないでいただけます? ——モンキー・D・ルフィ」

不敵に笑うと、ルフィの鼻先を弾く。

「痛ぇ! お前、覇気使えるのか!」
「アンジール=リィフ、懸賞金5億ベリー。キギキギの実の能力者ですわ」

弾かれた鼻先を摩りながらルフィが聞いた。

「おれに何の用だ?」
「私を——私を、仲間にいれてくださらない?」

時が止まった、という表現しか見当たらなかった。
運良くフランキーが扉を開いて出てきて声をかけたが、その声がないといつまでも硬直し続けたくらい、時が止まった。

「麦わら達、何突っ立ってんだ?」
「……あんた、自分が何言ったか分かってるの?」

一番早く我に返ったロリが尋ねると、リィフは当然と頷く。

「あら、どうしたの?」

ロビンが顔を出し、今までのことを聞く。
後ろでノートに何か書き込んでいるコルーも見えたが、ロリはとりあえず放っておくことにした。

「お前、面白いなー! いいぞ、仲間に——」
「ルフィ!! ちょっと来なさい! ロリとゾロも来て!」

ナミがルフィの頭を掴んで船室に入る。

「何でおれまで……」

ゾロが聞くと、ナミは「その場にいた人!」と叫び返す。
サンジがさりげなく付いていこうとしたが、ナミの蹴りを鳩尾に喰らって大人しくなった。

「……ルフィ、今アンジールに何言おうとしたの?」
「仲間になれって言おうとしたのに、何だよ?」

ナミは大きく息を吸い込んで言った。

「この、バカ!! あんた、あいつがどんな人か知ってるの!?」
「知らねぇよ。5億ベリーの能力者だろ?」

ロリはルフィを真っ直ぐ向いて言った。

「天竜人よ。——アンジールは、天竜人なの」
「そうなのか!? じゃあ、おれあいつ仲間にしない!」

天竜人に対して敵意を持っているルフィが言うが、ロリは続けた。

「待って。今から言うことを、良く聞いてね! ——実を言うと、今『身っ喰い』だから変な言葉があっても気にしないで」

ナミが心配したが、チョッパーの薬が効いているので「大丈夫」の一言で返した。

「あの子は、天竜人だけど——生意気で、お嬢様すぎるって感じだったから……当然親に突き放され、奴隷になってしまったの」
「矛盾してねぇか?」

ゾロが聞くと、ロリは考え込んだ。

「言葉、おかしかった? 天竜人は容赦無いから、我が娘でも奴隷にしてしまったのよ」
「あぁ、分かった……ことにする」

後はゾロの読解力の問題なので、ロリは続けた。

「ここからは母に聞いた話。——アンジールの力が強すぎて、海楼石が効かないの。それくらい彼女の力は凄いの」
「それで?」

ナミが首をかしげて先をうながした。

「うん……彼女は、それでも奴隷になった。生意気って言われるアンジールは、それでも奴隷として生きてきたのよ」
「そうか、じゃああいつやっぱいい奴なんだ! 仲間にしていいだろ?」

ロリは目を伏せて答えた。

「いつもなら……ええ、いいわよって言うと思うわ。でも、今回、私は反対したい」
「何で駄目なんだよ!」

ルフィがロリに迫って聞くと、ゾロがルフィの顔をひっぺがして続けるよう言った。

「……絶対に駄目とは、言えない。でも、どうしても入れるのなら——私は彼女を蔑むわよ。船での接触は控えたいし、会話もしたくない」

ナミは顔をしかめて聞いた。

「何で、あんた……そう言うの? ロリらしくない」
「今の私に"らしい"なんてないわ……あるのは、あいつに殺された祖母の赤い記憶、だけ……」

ロリの目から涙が零れ落ちる。

「思い出したの……7歳だったとき、祖母を能力で赤色に染めたアンジールの顔を……恨みたいとは思えないけど、心を許すのが怖い」
「……お前、婆ちゃんあいつに殺されたのか」

ルフィが大人しくなって先を待った。

「でも、……私一人の意見で彼女を帰すわけにはいかないでしょう?」

ロリは目をこするといつもの笑顔で言った。

「あの子と話し合うわ! だから、——1時間だけ時間を頂戴」
「分かった。おい、ナミ、ゾロ! 出るぞ」

ルフィは2人を連れて退散した。