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第12話〆　<続>ロリの過去


「ルフィさん」

夜が明けてまずロビンが起き出したのを見計らってロリはルフィの寝ているハンモックに駆け寄った。
いつもなら部屋で寝ているのだが、何故かハンモックでゆらゆら揺れながら寝ていた。

「うー……」
「ルフィさん!」

それでも唸って起きないルフィ。
ロリは枕元でダイナマイトが爆発しても起きないのではないかと思った。

「お肉、野菜のソテー、コーンスープ……」
「飯っ!!　んぁ、飯は?」

寝ぼけた顔でロリを不思議そうに見るルフィのまぶたがまた下がってきた。

「空重……」

打撃は効かないが眠気覚ましに錘を落とすと、カコーンと軽い音がした。
下がってきていたルフィのまぶたが一気に持ち上がった。

「ん!　ロリ、はよっ!!」
「お早うございます、ルフィさん」

ロリは少し目を伏せて考えた。
——この時点で自分の悩みが消えそうな気がする、と。
ルフィの自然な存在に、悩んでいることが馬鹿らしくなってきた。

「……私の母って海賊だったんですけど」

さりげなく打ち明けると、ルフィの顔が目の前にあった。
うろたえるロリを他所に、ルフィは笑顔で言った。

「すげぇなー!!　コルーみてぇなもんか?　あ、でもあいつは父ちゃんだからなー。」
「……ガープさんに、捕まって——監獄にいます」

ルフィの言葉がぴたりとやんだ。

「……懸賞金5億ベリーの大物でした。その私が海賊だと分かると私まで逃げなくてはいけませんから……偽名を名乗っていました」
「偽名ってなんだぁ?」
「……えっと、嘘の名前です。本当はロリ・ディーテって言います。
船で気絶してたのは、ルフィさん達に拾われたかったからです……。」

途中のルフィの間抜な質問に脱力しつつも真実を伝える。

「……仲間になってから、そのことを忘れていました。私はロリ=エーテリオンで、ロリ・ディーテでは無いと。」


静かに打ち明けるロリと、少し真剣な顔つきで聞いているルフィの間に、明るい太陽の光が差し込んだ。