二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 卍ONE PIECE 空を翔ける海賊. オリキャラ募集! ( No.71 )
- 日時: 2011/02/02 20:39
- 名前: 柚麻. ◆hLMPZ4CBa. (ID: aU3st90g)
- 参照: 元/(梓!*、 です(*´ω`*)今後ともよろしくお願いします、
第16話〆 "静ある動",
[>海軍<]
「ったく、すっかり引っ込んでおったと思ったら」
ため息まじりにガープが言った。
その横でカタカタと音を立てながら印刷機が何千枚もの紙をはきだしている。
「——ロリ・ディーテがルフィの船で動き始めたか……」
印刷されたばかりの紙を手に取ると、案の定インクがべとりと手についた。
それを近くの布巾で拭き取ると、眺めた。
「……怪しい女じゃ。母に似て——」
頬に数滴返り血を浴びた写真に、少し虚ろな目が静かさを引き出している。
長い指も真っ赤に染まり、5年前より大人びた顔をしている。
ガープはロリが白ひげ海賊団から独立したてのときに一度会っている。
そのときは長い黒髪も背辺りまでしかなく、睫毛も短かった。
それでも鋭い目つきで「ロリ・ディーテよ」と名乗った冷たい声は、今でもガープの耳にこびりついている。
「……さて」
くしゃくしゃに丸めて屑篭に入れると、ガープは部屋を後にした。
「至急ロリ・ディーテの手配書を用意せよとのご命令、完了しました」
「おぉ、有難う有難う——えぇと、お前は誰かいの」
桃色に近い髪色をした少年——コビーが言った。
「コビーです。……それにしても、ルフィさん達の仲間なんですね」
「だから手配させたのじゃと言っておるだろう!」
煎餅の欠片を撒き散らしながらガープはお茶をどんっと机に叩きつけた。
それでもお茶は零れないことが、長年の訓練の結果を物語っている。
「……何もなければいいけどな」
脇机に置いてある足枷に目をやるガープ。
「まだ捕まらんのか、——デリ・ディーテは」
「はい、ハンニャバル副署長が捜索中ですが、野心が出まくりで進んで無いとか——」
ガープは最初より数倍大きなため息をつくと、もう一度手配書を見た。
「ソラソラの実か——」
そしてまたぐしゃりとつぶすガープの耳に、コビーのため息は聞こえていなかった。