二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 絶対可憐チルドレン ( No.15 )
日時: 2011/01/15 12:25
名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)

          *

「あたし,あなた…ううん。薫ちゃんの事,好きになっちゃうわ!!」
 輝くような笑顔に比例するかのように輝きを増す來羅の右手。その手から発せられる真紅の光は,墜落寸前の飛行機を難無く支える。その力は,薫に,高レベルエスパーがいる喜びと,まだ,完全な仲間ではないエスパーに対する
恐怖という感情を植えつけた。

 ×飛行機内部× 
「薫…!!」
 機内では,能力未知数の高レベルエスパーと薫を2人きりにしていまった後悔の表情を顔に浮かべて外の様子を伺う。心配のためか震えている皆本の両手を紫穂,葵が握った。
「心配せんでも,大丈夫や」
「そう,大丈夫よ。薫ちゃんは。私達のリーダーだもん」
「ああ…そうだな…薫なら,大丈夫だ…!」

 薫の右腕を來羅が掴んだ。薫の腕を掴む來羅の左手が,青く光る。
(紫穂と同じ色…透視!?)

「やめろ!!」
 叫びと同時に來羅をつきはなす薫。その顔には困惑と,微かな怒りが浮かんでいた。
「…」
 しばらく黙る來羅。沈黙に耐えられなくなった薫が口を開こうとするが…やめた。
「ハァ…」
 來羅が,いまにも消えてしまいそうなため息をしたからだ。

「そうやって…いつも,いつも普通人に拒否されて…」
 煌々と輝く,來羅の両手。
「違う!! あたしは普通人じゃない,エスパーだよ!?」
「違わない!」
 薫の言葉を否定する來羅。來羅を包む光は,もはや両手だけではなく,來羅の体全体を包もうとしていた。

「來羅ッ!!」
 その異変に気付き,來羅の腕を薫が掴もうとしたが____
「違わないわ!! いつも私の事を否定する…。存在が認められないあたしは,どうすればいいの??…こんな世界…  あたしは嫌よ…」
 今にも消えてしまいそうな來羅の声を聞いたその瞬間,薫の伸ばしかけた腕は止まった。

 飛行機は,來羅と薫の会話中にも2人に支えられ,堕ちていく。

 機内から,3人の人影が見えた。紫穂・葵。そして皆本。薫はその3人を見て,何かを決意したかのように目を閉じた。
 瞬間,辺りは闇と光に包まれた_____

          *