二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 絶対可憐チルドレン ( No.17 )
日時: 2011/01/15 12:26
名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)

          *

 頬に,温かい物が伝うのを感じる。気付いたとき,自身がいる場所は空中ではなく,固い地面。
 まだ湧き上がってくるであろうと思い,必死で押しとどめようとしていた普通人に対する憤りは,いつの間にか消え去っていた。
 側には先端がへこみ,右翼が折れた飛行機と3人の少女。そして彼女達を守るように前に立つ青年。

「来ないで」
 無駄のない動きでスッと右手を男…皆本に向けた。一瞬戸惑いを顔に浮かべ立ち止まるが,すぐにまた笑顔になり來羅に向かって来た。

「来ないでって言ってるでしょ! 止まって!!」
 右手が輝く。
「…君は,そんな事をする子じゃな…」
「違うッ!!!」

 皆本の言葉を制し,叫ぶ。
「あたしは…あたしはッ…!!」
 フワ…と,心地よい力が來羅を包んだ。
(念力…?)

「來羅は,ここにいていいんだよ」
「せや!! バベルに来ぃへん?」
「普通人や能力者なんて関係ないの」

「僕たちは,君を歓迎する」

「…ッ!」
 目頭が熱くなる。

「うわっ!!」
 皆本達が吹き飛んだ。來羅が風を起こしたせい。
「…考えておくわ!」

 來羅は飛び立ち,彼女の周りが輝く。
 …涙だったのかもしれない。
 空は蒼く,どこまでも続いていた。


          來羅編 *完*