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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 絶対可憐チルドレン ( No.21 )
- 日時: 2011/01/15 13:10
- 名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)
*
「…」
突然怒り出した皆本に驚き,薫達は言葉を失った。それを見て,あきれたように飛鳥はため息をつき,紫穂と皆本を見て静かに言葉を発した。
「とにかく,私1人で行くわ。紫穂は来ないで。…いいですよね,皆本さん」
確かめるようにコクリ,と1つ飛鳥はゆっくりとうなずいて空気を裂きながら下にある工場に降りていった。
———その直後。
爆音と共に工場が爆発した。
火炎と熱風に飲み込まれる飛鳥を薫達はなす術もなく,ただ見ているだけだった。
「飛鳥ぁぁぁ!!」
薫の叫びが虚空に響く。
———あいつは知ってたんだ…だから,紫穂を連れずに…!!
エスパーの勘…いや,女王の勘と言うべきか。
「くそッ!!」
薫は叱声を放ち念力で空気の防護壁を造って,火炎を弾きながら飛鳥の後を追った。後ろで彼女の名を呼ぶ声をも振り切り,工場へ降り立った。
「…飛鳥??」
か細い声で飛鳥の名を呼ぶ。防護壁を通して伝わる火炎が薫の肌を舐める。
———熱ッ…
「飛鳥ッ!! どこだよッ!!!」
「バカね」
「!?」
突如として姿を現した飛鳥は,もう馴染みとなったバカ,には反応しない。その代わりに堰を切ったように薫の口から数々の言葉が溢れ出てきた。
「なんでそうやって!! 自分の事考えないで!! なんで!! なんで!!」
なんで,繰り返す薫の頬には,一筋の涙が伝っていた。
「薫——…ッ!?」
———ドオォォオオォォ———…
再び起きた爆発に飛鳥の声は掻き消され,火炎が二人を飲み込んだ。
*
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