二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 心霊探偵 八雲 ( No.10 )
日時: 2011/01/28 16:58
名前: 凪 (ID: ObYAgmLo)

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八雲は、あの電話の後“マンション全焼事件”について考えていた。

八雲はソファアに深く腰掛け、腕組をしている。

さっきの後藤からの電話の話では、マンションが被害にあう前、真夜中

に誰かがマンションに入っていく様子を住民が見た、とのこと。

それはマンションの住民ではない。

—新聞配達の人か?

八雲は思った。だが、それは違った。新聞配達の人が来るのは、早くて

も午前4時。

後藤の話を詳しく聞いてみたが、結局、ヒントとなるのはなかった。

しかし、マンションに入っていった謎の人物は、どうなっているのだろ

う。放火から逃げられたのか?屋上で救助されたのは、すべてマンショ

ンの住民のみ。謎の人物は、なんのためにマンションへ?放火の犯人

か?もしかしたら、死んでいるかもしれない。

そして、後藤から頼まれたことがあった。

「おまえの超能力で、そいつが死んでいるか確かめてくれないか。死ん

でたら、人間の魂ってもんが見えると思う。もし、偶然そいつがマンシ

ョンに行って火に包まれてしまったのなら、なにかを思って出てくるか

もしれないからな…」とのこと。もちろん、八雲はこんな長い話なんて

全て聞いていなかった。

いや—

聞く気がなかった、といった方が正しいだろう。

「—で?どうするの?八雲君?」

晴香が八雲の顔を覗き込む。

「何が」

「後藤さんに頼まれたんでしょ?」

晴香の言葉で八雲は晴香を睨んだ。

「君、盗み聞きしてたのか?」

晴香も負けずと睨み返す。

「聞こえただけよ!聞かれたくなかったら、外に出ればいいじゃない!」

「君に言われたくないね。ここは僕の隠れ家、だ。なぜ僕がここを離れなければならない」

あいかららず、八雲は冷静な態度。

…そういえばそうだ。ここは八雲の居場所。八雲は正しいことを言って

いるのか??やぱっり八雲には勝てない、と諦めた晴香は話を元に戻した。

「で?行くの?」

八雲はため息をついて立ち上がった。

「行くしかないだろうな。借りがあるし」

「借り?」

「ああ。前の事件の時の帰り、送ってもらったんだ」

後藤刑事、器が小さすぎる。晴香は心の中で思った。

八雲はソファアに掛けてあった上着を取ると、上着を脇のあいだに挟み

ドアをあけた。

すると、八雲は立ち止まる。晴香は首をかしげた。

「君もついてくるんだろう」

「え?」

めずらしい。八雲がこんなことを言うなんて。

「玄関から足が一歩踏み出てるぞ」

「あっ」

晴香は自分の足を見降ろした。まったく、八雲の言う通り。

無意識にこんなことをしてるなんて。晴香は一瞬顔が赤くなった。

—恥ずかしい。

「おい、置いてくぞ」

八雲が振り返る。不機嫌そうな顔。けど、なんだかうれしい。

晴香は、いそいで上着をはおって八雲とともに外に出た。

よし。レッツ…

「カギ…閉めておけ」

八雲の一言で晴香の顔が変わった。

—私はあんたの奴隷か。


  ◆あとがき
どうも〜♪
久しぶりでございます。
八雲…ナイス。
晴香…がんばれ。