二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 心霊探偵 八雲 〜つながる絆 ( No.59 )
日時: 2011/03/07 17:48
名前: 凪 (ID: M8vlMd6.)

〜10〜

「マンションに入っていった人が分かったんですか!?」

土方真琴は、テーブルに乗り上げ、大声を出した。

「し、静かにっ!声がでかいわよ」

中崎は、右手の人差指を自分の口に当て言った。

「ああ、すみません…。で、誰なんですか?」

真琴は一度、中崎に謝ると態勢を元に戻し尋ねた。

「誰かは、よく分からないけれど特徴は思い出したわよ」

「特徴でも構いません」

「それならいいけれど。つばが長い帽子を被ってた。右手でつばを下に

さげて顔を隠してたみたいだったわ」

いかにも怪しい雰囲気が漂う。

「他には?」

真琴は手帳に書きながら言った。

「それと髪の毛が、やけに長かったような気がする」

「それは、どれぐらいですか」

「腰あたり。女の人かもしれないけれど、今は髪の毛がやたら長い男の

人もいるものね。どっちかは分からなかったわ。私が覚えているのはこ

れくらいかしら」

中崎は言った。それと同時に真琴は手帳に書き終えた。

真琴は手帳をパタン、と閉じ、カバンの中に入れる。

「そうですか。ありがとうございました。また、思い出したことがあり

ましたら、電話を下さい」

真琴は、そう言うなりカバンを持ち立ち上がった。中崎も立ち上がる。

「ええ。思い出したら、ね」

中崎は頬笑みながら言った。それにしても、よく微笑む人だな—と真琴

は思った。


                 *

「ありがとうございました」

真琴は扉を開け、頭を下げると扉を閉めた。そしてゆっくり歩き始め

る。自分の車へと。

今日の収穫はこれくらい。つばの長い帽子を被り、髪の毛の長さが腰。

真琴はチラリ、と自分の髪の毛を見た。束ねた髪の毛。自分もこの髪の

毛を下せば、腰ぐらいになるだろう。けどこれだけでは—

「ああ分かんない!」

真琴は上を見上げながら叫んだ。眼には真黒になっているマンションが

映った。

—ああ、あれか。

真夜中、放火にあったマンション。まったく、酷いこ

とをするものだ。

真琴はマンションの方を向く。すると、ごくわずかだ

が人がいるのが見えた。複数。

「あっ」

よく見えないけれど真琴には誰か分かった。別に根拠

はない。ただ、そう思うだけ。

—あの人にこれを一応伝えておこう。

真琴は自分の車に向かうのをやめ、真黒になったマン

ションへと走り出した。



▼あとがき

どうも。
予定通り、今日更新しました。
次の更新は、明日かな?