二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士— ( No.13 )
日時: 2011/01/31 20:38
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y

   第二話 “鷹の目”と同等の力を持つ剣士

“海賊狩り”に苦戦を強いられている男——ネルはここ、ヒーリンという村の住人だった。
ここは世界でも数少ない、『清き魔力』を持つものたちの隠れ里のようなものだ。


20年前、大海賊時代が始まってから、“新世界”の入り口付近に位置するこの島に、海賊の訪れる頻度は日増しに強くなってきていた。
そんなある日のことだった。

今の魔法剣士——リィフが現れたのは。

疲れ果てた様子で、初めは村の誰のことも信用していなかった。
その理由は、すぐにわかった。
彼女が来る3日前、“世界貴族”である天竜人の捜索願が出されていたからだった。

最初は天竜人の奴隷だったのかとみな思っていたが、雰囲気がそうは言っていなかった。
それに捜索願の報酬金は3億ベリー。
きっと彼女は逃げ出して来たのだ、あの権力を暴走させた“世界貴族”のもとから。

そして報酬金目当ての大勢のものにいろいろな目に合わされたに違いない。

数日後の新聞には彼女は天竜人の娘の一人、そうかかれていた。
しかし村の者達は、孤独にさまよっていた少女にひとり残らず誓った。



君を守る。どんなことがあっても、差し出しはしない。


リィフは魔力を持っている剣士だった。
みな驚き、そして不思議がり、しかしむしろ彼女にその能力が宿っていたことに歓喜して自分達の技術を教えた。
そのうち彼女は独学を始め、今では村一番——村の者達を束にしてかかっても敵わないかもしれない位に——強い白魔導士になっていた。


そして季節は巡り、春島であるここが初めてリィフが来た時と同じ季節を迎えたとき、一人の剣士が現れた。
眼光は鋭く、背には十字架の形をした黒刀を背負っている男だった。


             王下七武海 “鷹の目”のミホーク。


「・・・ここにリィフ宮がいると踏んだのだが」

その一言に、村人達はざわめく。
遠巻きに見ていたリィフを、ミホークが発見する。
表情の読み取れない瞳はリィフを見つめたまま、背中の黒刀をゆっくりと引き抜く。

「剣技は相当なものだったと聞く。おれと勝負し、勝とうものならばここにいることを第三者には明かさぬ。・・・どうだ?」
「望むところですわ」

ふたりの一騎打ちは唐突に始まり、三日三晩続いた。
まったく互角の対決のまま唐突に四日目の夜、ミホークは言った。

「・・・どれだけぶつかったとしても、互いの体が朽ち果てるまでこの戦いは続くことだろう。楽しかったぞ、小さき大剣豪よ」
「わたくしもですわ」

ふたりは小さな手と大きな手で握手し、互いへ背を向けた。
リィフの力は大剣豪と張り合えるもの。
“海賊狩り”もきっと、リィフ様には敵わない。






ゾロは相手がいきなりフッと口元をゆがませたのを見た。
なんだかバカにされているようで、むっとして舌打ちする。

「・・・何がおかしい」
「いや。俺はお前には敵わない。しかし、ここの最強剣士にはお前でも勝てないと思ってな」

最強剣士?
男は疲れきった顔で剣を持っていた右手を下ろす。
肩をすくめ、おどけたようにつぶやく。

「残念ながら、おれはもう疲れきって戦えなさそうだ。あんたの好きにすりゃあいい。殺したければ殺せ」
「生憎、人の命取るのにゃ興味が無くてな。それより、その剣豪の名前が知りたい」
「リィフ・アンジールさ・・・。せいぜい、命は大事にな」

その言葉を残して男は地面に突っ伏した。
ゾロは黒い手ぬぐいを外すと、腕に巻きつける。

「さてと・・・。第一、おれは戦いに来たわけじゃないんだがな」

誰に言うともなしにつぶやくと少し離れた、サニー号のある仲間達のほうへ戻る。



・・・つもりが、なぜかゾロは村に入っていっていた。

「・・・?」










リィフは小船の縁にたてかけてあった大きな一本の剣を持って、港のほうへ走り出す。
ここからそう遠くは無いので、海賊船の大きなメインマストが見える。
目印にして矢のように走っていたところ、緑髪で体格のいい男性を発見する。

見慣れない顔だけど、どこかで見たような・・・・・。
どうかしたのかしら?新入り?

「・・・どうしたんです?」
「ん?ああ、子供か」

とりあえず声をかけてみたリィフはその言葉にむっとする。

「いや、海はどっちだったかと思ってな」
「どうしたら迷うのです・・・?こちらですよ」

あきれ返ったリィフはそう言って緑髪の青年を案内する。
緑髪の青年は剣士のようで、腰には3本の刀が結わえ付けてあった。
ふたりはもう海の見えるところまで来ていた。
リィフははっとして、青年のほうに振り返る。そう。あれに似ている、というより・・・。

「あなた・・・。“海賊狩り”?」
「ああ、そうだ。まったく、この村の奴らといったら・・・ん!?」

青年が同意した瞬間、リィフは背中の大剣の切っ先を突きつけていた。
刀身が青白い輝きを放つ。
目を見開いた青年——海賊狩りのゾロは、つぶやく。

「お前・・・!?何モンだ」
「わたくしの名はリィフ・アンジール。ヒーリンを荒らす海賊たちからこの島を守るため、わたくしはいるのですわ」