二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士— ( No.16 )
日時: 2011/01/31 20:43
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y

   第四話 青っ鼻のたぬき

麦わら海賊団の船医チョッパーは、サンジが駆け出したときゾロの足元であの間違った隠れ方をしていた。
そのまま首をかしげ、頭の上に?マークを浮かばせていた。
・・・!?

少女のほうに視線を戻すと、彼女は倒れゆくところだった。

恐る恐るサンジの後についていく。


「こ、これは・・・!?」

地面に倒れそうだった少女をサンジは抱きとめた。
サンジは気づいていなかったが、少女の垂れた手のひらに付いていた血にチョッパーが気づく。
少女の体も急激に変化している。


サンジがゴクリとつばを飲み込む。

6歳くらいだった少女は、なぜか一気に17、8くらいの女性の姿に変わっていたからだった。
チョッパーはサンジの顔を見て(予想通りの目の形になっていた)、こんなときまで・・・。とあきれる。
しかし次の瞬間にサンジも女性の手のひらの血に気づく。

「チョッパー!このレディの治療、頼んだ!」
「お・・・おう!」

サンジは女性をお姫様抱っこして船に連れて行く。
女性は薄く目を開ける。
それを見たサンジの目の色が再び変わる。

「うっ・・・!?・・・だ、誰・・・!?」
「お気づきになりましたか、レディ!?」
「ううっ、くっ・・・あ、あなた海賊のひとり・・・!?は、離して!わたくしをどうするおつもり!?」

女性は身をよじるが、まだ体に力が入らないのかあまり身動きが取れないようだった。
そのまま船室に運び込まれる。
サンジが女性を病室のベッドに乗せると、女性はベットの上で四つん這いになって立ち上がろうとするが、再び咳き込む。
鮮血が白いベッドの上に滲む。

「ゴホッゴホッ!!!・・・あなたたち、わたくしを売るおつもりでしょう!?人身売買なんて許されないですのよ!!?」
「む、無理するなよ!」

物凄い剣幕で叫び、敵意をあらわにする女性にチョッパーがあわててそう言う。

人身売買・・・!?

しかしその言葉もすぐに頭から消し飛ぶ。
女性が力尽きて再び倒れこんだからだった。

「サンジ!!」
「お、おう!おれもてつだ「病室から出ろ!!」」

しぶしぶ去っていく彼を見送ると、ほぼ入れ替わりでナミが入ってくる。
「んぬわ〜みすわぁ〜ん!!(ナミさん)」と叫ぶサンジをするりとかわし、扉を閉める。

「お使い程度にうるっさいわね!!なにやってんのよ!・・・てその娘誰!?」
「ナミか!ナミなら大丈夫だ!ちょっと手伝ってくれよ!」
「え??・・・い、いいけど・・・」
















う・・・眩しい。


目を開いてそう思う。


あれ・・・??わたくし、倒れてその後どうしたんでしたっけ。


ああ、海賊に捕まったんだわ。それで、売られてしまったのかしら。

            ヒューマンショップ
それとも、まだここは人売り場?




しかし、どれとも違うような温かみのある木製の天井と白いベッドシーツに疑問を抱く。
碧色の瞳をしばたたかせ、ばっと起き上がる。

ガタン、と横の小動物が背中を向こう側の壁に激突させる。

「お、起きた・・・」
「・・・『わたあめ大好き(ペット)チョッパー』・・・じゃあここはまだ船の中・・・?」
「おれはペットじゃないぞ!」
「・・・たぬきがしゃべった」
「たぬきでもない!」

ピンクの大きな帽子をかぶった茶色い物体は(※本当は生物だが、毒舌のリィフはそう表現した)、じたばたする。
茶色いもこもこの物体は薬と思われるビンを小さな机に置くが、リィフはまだ警戒しているため無視した。

「飲めよ。・・・毒じゃないぞ??」
「未知の生物、しかも海賊の仲間にわけのわからない薬を突然突き出されてあなた飲めますの?」
「いや、無理だな。・・・ってオイ!おれは未知の生物じゃないぞ!!」

よく喋るたぬき。
ともかくリィフはそう思った。
だいたい、たぬきがなぜ人語をしゃべれるんですの?・・・ああ、悪魔の実の一種ですの。

「ともかく、ここから出させていただきます・・・うぅっ!!」

ベッドから降りようとしたリィフは、胸の痛みに顔をしかめる。
思わずよろけて、先ほどの小さな机に手をつく。

「無理するなよ。お前、病気だろ!?さっき調べたら、体の中までズタズタだったぞ!!?表面にも少し傷あったし!!そんなことしてるといつか死ぬぞ!」
「・・・村を守れるなら死んだってかまいません」
「バカなこと言うなよ」
「たぬきにわたくしの気持ちなんかわかって欲しくありませんし、わかってもらおうとも思いませんわ」

なおも出て行こうとするリィフに茶色い物体、たぬきは顔をしかめる。
リィフは壁に手をつきながら息を荒げ、包帯の巻かれた手に気づく。
続けて、自分の体が元のサイズに戻っていることにも気づくが、目の前の扉からオレンジ髪の女が入ってきて一歩後退する。

「・・・っ!!“泥棒猫”・・・」
「あのねぇ。助けてくれた恩人に対してそれはないでしょ。お礼のひとつくらい言ったらどうなの?」
「恩人・・・?助けた・・・?」

何もわかっていない彼女の様子に、“泥棒猫”ナミはあきれて額に手を当てる。
リィフは胸の痛みにしゃがみこむ。
                                      トータルパウンティ
「ほらあんた、無駄な抵抗しないで。第一、ここの全員と戦う気?総合懸賞金は6億超えてんのよ」
「・・・・・」

やっと静かになったリィフに改めて薬ビンを手渡す。
顔を背けるも、ナミは茶色の栓を引っこ抜いてリィフに無理矢理飲ませる。

「ほら、別に死なないでしょ?だいたい殺すような意味とか無いわよ。わたしの財宝盗ったんなら殺すけど」
「「・・・・・」」

この言葉にはふたり(一人と一匹)とも沈黙する。
心なしか、チョッパー(初めて本名を呼んだ)は青ざめている気がする。
きっとこれはかなり青くなってる。
だって茶色い毛皮の上から色がわかるくらいだから。

「とにかく。ここで安静にしてなさいよ。いいわね」