二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士— ( No.20 )
日時: 2011/01/31 21:11
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y

   第六話 屋敷

鮮血は地面に滴っていたものもまるでさっきの傷が幻だったかのように消え去った。
一味は驚愕し、口々に言葉を叫ぶ。

「な、なんだァ!?傷が一瞬にして消えたぞ!??能力者か!?」
「いや、今のは水の力とは関係ないだろ」
「・・・皆様がわたくしたちの能力を知らなくても不思議ではありませんわ。むしろ困ります。ここは白魔導士たちの隠れ里」

クルー
船員達の質問攻めに、リィフはそう答える。
全員首をかしげているが唯一、黒髪の女性、ロビンが顎に手を添えて考えるポーズをする。

やがて思い立ったように口を開いた。
 ポーネグリフ
「歴史の本文で読んだことがあるわ・・・。確か、大昔に栄えていた種族のひとつよ。今では生き残りはいないと伝えられている」                                  ココ
「ええ。わたくしたちは歴史から抹消されてしまい、今は隠れ里で静かに暮らしているのです。さぁ、こちらへ。屋敷に案内しますわ」

フランキーが梯子を出すと、全員がぞろぞろと列を成して降りてきた。



                *                                *



村人たちは全員きょとんとした顔で一行を眺めていた。
それはこの村では通常起こりえないものだった。


海賊が村を堂々と歩き、先導しているのは最も海賊を嫌っていた——リィフだったからだ。
攻撃しようにも、人質にとられているのか、あるいはリィフと彼女のじいやが先導している限りは知り合いのようにも見えた。


しかしリィフの輝く瞳に、村人たちはひとり残らず戦意を失っていた。


一向はそうして楽しげに屋敷へと赴くのだった。



                *                                *

「う、っわなんだこりゃあ・・・」ルフィ、ウソップ、チョッパーがつぶやく。
「どうぞ」

そう言ってリィフが5.6Mある門に触れると門は鉄のこすれる音と共にギギと開く。
真っ先に中へと跳びこんだのは、もちろん先ほどの馬鹿3人である。

人が踏み込むと、中庭(1K㎡はある)の中の道路のようにも見えた黒い道がベルトコンベアーのごとく起動する。
馬鹿3人ははしゃぎにはしゃいでいる。

「マジでこりゃあ驚いた・・・」

辺りを見回したフランキーが感嘆の声を漏らす。
ナミが果樹園のみかんの木を見つけて興奮するが、リィフの苦手なサンジは「リィフすわぁん素敵だぁあ」とか言っている。

少し殴りたい感情を抑えて、唯一静かなロビンと並ぶと、唐突に彼女が口を開く。

「あなた、天竜人の娘さんよね」
「・・・やっぱり、知ってたんですのね。あなたこそ、オハラの生き残りなのでは?」                               ポーネグリフ
「ええ、そうね。歴史の本文を読むことができるのは私しか今はいないと思うわ」
「・・・うちの屋敷にも、ひとつ・・・あるのですわ」

ロビンは目を見開く。
冷や汗を垂らし、リィフのほうを振り向く。
肩の力を抜いて隣の年上の女性と話すのは一体、何年ぶりだろうか。

「わたくしは、あなたを待っていたのやも知れませんね。心の奥では・・・」

屋敷の中の通路を歩きつつ、天井を見上げて誰にいうともなくそう言う。


わたくし自身の秘密。



費えない疑問の数々。




なぜわたくしは魔導士の子でもないのに魔力を持って生まれてきて、それには一体何の意味があるのか。


ずっと知りたかった。



                *                                *



「んまほーーー!!!」

夕食の席で出てきた料理を目の前にして、ルフィはそう叫んだ。
こんなに大勢で食事するのは、一体いつぶりだろうか。いや、こんなに多いのは初めてかもしれない。
リィフは嬉しそうにそっと笑みを漏らす。

食事開始後数分で、夕食の雰囲気は宴へと変わる。



すごくにぎやか。はじめて感じた、「楽しい」の感情。



馬鹿3人は鼻から口へはしをつっこみ、ザルを持って変な踊りをしているし、それを見ているみんなは笑っている。
気づけばリィフも自分でも驚くくらい、これまでにないほど笑っていた。
全てを忘れられるくらい、楽しかった。



                *                                *



「お嬢様、失礼いたします」

執事の一人が夕食の席へと遠慮がちに入り、そっとリィフに耳打ちする。
リィフはそっと席を外すが、夕食の席のほとんどの人間は気づいていないようだった。



ただひとり、ゾロだけは席を外した少女の存在に気づいていた。
酒樽の中身を飲み干すと豪快に右腕で口元をぬぐい、席を外した。





月の光が明るい。
よく晴れていて、左右は自然の多いこの島だからこそ生える植物達が覆っていて満月がよりいっそう大きく見える。
その下を昼間の服装に比べると質素な白いワンピースのひとりの少女が歩いていた。

後ろからついてくる剣士の気配には屋敷を出た時点で気づいていたが、リィフは勝手にすればいいと思った。
とにかく、邪魔されなければ。
何しろ万が一発症した場合、もしかしたら助けが必要とされるかもしれないから。

とにかく今は、9800ベリーの賞金首に注意を向ける。