二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士— ( No.24 )
日時: 2011/01/31 20:51
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y

   第八話 少年


寝室へ案内されたルフィたちは、寝室の定番『枕投げ』に走っていた。
初めはウソップが投げた。当然狙撃手であるから、狙いは命中。
ルフィが「ぶへっ!」といって枕の不意打ちを食らう。

「やったなコンニャロ!!」
「ぎゃははははは・・・ぶっ!」

狙いから大きくそれた外れたルフィの枕はチョッパーの顔面にある意味見事に命中する。
こうして、枕投げ合戦は幕を切ったのであった・・・ぶっ!

なぜか作者にも流れ弾。

「さっきから解説うっせーわ!てかなんだてめ、誰だよ!」

この小説の作者ですが・・・。

馬鹿3人をはじめ、なぜか男子軍は全滅ハイテンションと化した。
サンジはなんとか女子への攻撃を防いでいるが、そのかわり人一倍顔面に当たる回数が多かった。

「レディに当てようとするなんざいい度胸だクソ剣士!!」
「ああ!!?うるせぇよ黙ってろグルグルが!」
「かっち〜〜ん・・・。グルグルとはなんだこのクソまりも!!」

コックVS剣士の壮絶な戦い(※注:枕投げです)が始まる・・・。
いつの間にかその他の男子どもはそれを観戦していた。
野次をとばし、それあっちだそれこっちだと叫ぶが、時折枕の乱舞の被害を受ける。
しかし互いに笑いあい、ふざけている。
女子の2人はベッドの向こうに避難し、ひっそりと話していた。

「なんでここの男子は馬鹿ばっかなのかしらね」
「ふふっ!いいじゃない。にぎやかで」

苦笑いするナミとにっこりするロビンは内心、いつになったら寝れるのだろうと思った。







やっと眠りについた海賊たちは、ほぼ爆睡していた。
その中、船長のルフィがむっくりと起き上がり、「べんじょ」と言ってそこを後にした。




大理石のテラスが、月光をたたえて冷たく静かな輝きを放っている。

リィフは大きな満月を見上げて白いガーデニングチェアのうえ、ひとり目を瞑って息を吸い込んだ。
静かな調べが、夜空に、夜気に、森に、村に響いた。
まるで子守歌のごとく静かで、それでももっと神秘的で、物悲しいような曲調が。


                     トキ
“手を広げ 歌いながら 悠久の 刻に抱かれ 命をつなぐ”———。



“永く 続く この道の 向こうに 信じられる ものが きっとある———”



歌は響く。


それはリィフ本人も癒すものだった。
歌い終え、リィフは赤い瞳をゆっくりと開く。
うしろに気配を感じるものの、リィフは前を向いたままそ知らぬフリをした。

「お前、歌うめ〜な!」
「・・・そう、思います?」
「ああ!うめ〜よ!」

ルフィはただ、その言葉を繰り返した。
乱暴な言葉使いだったけれど、リィフには最高級の褒め言葉に聞こえた。

今まで執事達以外の人間に歌を褒めてもらうことなんてなかったから。

「・・・ありが、と・・・」

変な感じ。
ふわふわする。自分が自分でない感じ。

木々が風に吹かれ、木の葉がざわめいた。
自分の金髪に近い色をした、銀髪が風に吹かれるのが目の端にちらちら映る。


“——————————”


「・・・??」


“—————————テ”

何か、聞こえた。
ルフィのほうに振り向くが、彼はきょとんとした顔をしている。

聞こえて、いない・・・?


“——————クル。——テ”

どこから?

この声、最近聞こえるようになった声ですわ・・・。
わたくし意外、誰にも聞こえない“声”。

“クルヨ。アイツガ、クル。ニゲテ・・・”


あいつ?

来る?

誰が・・・?

辺りを見回すが、自分達以外に人影も気配も感じない。
ふといきなり左側の茂みが動き、リィフたちはそれに気をとられる。


                                    しかし、それは罠だった。


反対方向——右側から、細長いツルがしゅるりと伸びてくると、ロープのごとく右手首に巻きつく。
ブッた斬ろうとするも、そう思って挙げた左手首にもツルが巻きつく。

「リィフ!!?」

ルフィが叫ぶ。
助け出そうと乗り出すが、どこからともなく降ってきた釣鐘型の檻の中に閉じ込められる。

「なんだコンニャロ!!」

彼の力ならば簡単に破壊できるであろう植物の檻は簡単には外れず、むしろ力を奪っていくようだった。
海楼石・・・!?
檻はどんどん高くつるされる。

中からでてきたゾロとサンジはあっけにとられてその光景を見ていた。
ゾロが斬りつけるも、ふたりのツルは斬れない。
否、斬れないのではなく当たらないのだ。

刀は植物を通り抜ける。まるで、幻がごとく。

リィフは木が自分の体の下から急激に成長してくるのを見た。
必死の抵抗も空しく、木はほぼ身動きの取れないリィフの体に巻きついて大きく成長する。
首と腰に幹が強く巻きつき、リィフは下手に抵抗すれば首が絞まりそうなところまで、大木に捕らえられる。

これ・・・。この能力を扱えることのできる人物は、ひとりしかいない。
はっとして、ツルが切れて自由になった手で葉を千切り、投げる。
葉は小さなナイフと化し、一本の木に突き刺さる。

「お見事。流石、能力は前よりも劣っていないようで何よりだよ」

一本の木の裏から少年がひとり、ゆっくりと歩み出てくる。
少年の瞳はリィフと同じ、紅蓮の花のように赤かった。