二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士— ( No.25 )
日時: 2011/01/31 22:47
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y

   第九話 許婚


髪の色も、瞳の色も同じ。
そして彼の中にもリィフと同じ、“創造主”の血が流れている。

恐らく思想だけは、わたくしと正反対だけれど———————。

「誰だてめェ!!リィフちゅわんと(リィフちゅわん・・・?とリィフ本人は思った、)うちの船長を返せ!!」
「ブラン・・・」

リィフの静かなつぶやきに、サンジは黙りこくる。
少年——ブランは、不敵な笑みを浮かべたままゆっくりと木陰から出てきた。
下の自由な二人が身構えるが、手を出してブランはその二人を制する。
                        フィアンセ
「手は出さないで欲しいね。じゃないと僕の婚約者が傷つくことになるから」
「「フィアンセ!!?」」
「・・・なんだそれ。うまいのか?」


            ・・・—————ボーン・・・—————・・・

今、読者の中ではこの効果音が流れただろうことは作者は承知済みなので、あえてつけさせてもらった。
だいたい、うまいって何ですの?あなた、食いしん坊のデブでもない(食いしん坊は合っている)でしょう・・・。

「フィアンセってのは婚約者だろ、婚約者!!結婚を約束されてる奴だ!」
「あ〜〜・・・。不思議約束か!」
「違ぇわ!」

こんな状況でも船員二人のツッコみに爆笑する船長は・・・やっぱり、3億にはとてもじゃないけど見えないわね・・・。
強さは賞金額相応だったけれど。

「3年見なかっただけなのに随分と変わったね。“子供らしさ”が消えて、いい感じだよ。ますます僕の妻に相応しい」
「妻も許婚も婚約者もこの際関係ないですわ。どっちにしろ、こんなことをする人はわたくしは嫌ですわ!!」
「無駄な抵抗は止めなよ。その歌声も、地位も、能力も全部手に入れる。どんな手を使っても———ね」

発せられたその言葉にリィフの背中へ悪寒が走り、冷や汗が一筋、頬を垂れる。
志気を高めるため、ゆっくりとある方向を指差し、リィフは言う。



                     その方向には—————ルフィ。


「わたくしの婚約者は、もう決まってますわ」

「「「!!!?」」」





当然の、沈黙。



「な、何か文句でもありますの??」
「よ・・・よりによって、下々民の、しかも海賊と、だって・・・!!?」

燃え尽きたようにサンジは口をぽかんと開けて突っ立っている。
ブランの怒りに震えた声が聞こえるがリィフは優越に浸るのではなく、ブランのつぶやきの中の単語を見逃さなかった。


「下々民、ですって・・・!?今の言葉、取り消しなさいッ!!人も魚人も人魚も海賊も、全部平等ですわ!!」

リィフは大木の締め付けに抗い、精一杯大木を蹴るがびくともしない。

悔しい。

ただただ、そう思った。
締め付けは抵抗の影響で更に強くなり、リィフはうなり声を上げる。

「それは自滅だよ、リィフ。・・・さて、これ以上いても意味がなさそうだね。僕は彼女と一緒においとまさせてもらう」
「!!」

暴れるリィフ。
しかし大木の締め付けは強くなるばかりで、一向に抜け出せる気配はない。
サンジがブランに蹴りかかるが、彼は消えた。

「!?消えた!!どこだクソ野郎ッ!!!」
「後ろさ」

驚いたサンジは振り返り際に回し蹴りを発動するが、ブランは再び消える。
リィフのいる大木の下へ現れたのを発見したサンジは駆け出すが、なんとブランは空中へ浮かび上がる。
衝撃な顔で見上げる二人をよそに、ブランはリィフの縛られている高度まで飛び上がる。

体が大木から開放され、自由になったと共に彼女の体にツルが巻きついた。
そのまま自由の利かないリィフをお姫様抱っこする。

「この愚か者っ!馬鹿っ!!馬鹿馬鹿っ!!汚らわしい手で触らないでっ!!」
「どこでそんな言葉を覚えたんだい?そんな言葉を使っては———??」

後ろからした騒音に、ブランは言葉を切って振り返る。
二人とも、目を見開く。
見ると、背後にはルフィの巨大化した腕が檻を突き破って目前まで迫っていた—————。

「おれの船の音楽家に———」

ルフィが憤怒の形相で叫ぶ。
巨人族と同じくらいの大きさの腕が迫る———。

「手ェ出すなぁあああああああああああ!!!!」

ブランは拳をまともに食らい、吹き飛ぶ。
彼の腕から開放されたリィフはルフィたちのほうへ向け、空中へと放り出された。
格好つけてサンジがジャンプし、空中のリィフをキャッチした。

サンジのその行動に、少しばかりリィフは見直す。

「ご無事でしたか、マドモアゼル・・・これで私と婚約していただけ「檻の破片が当たってれば良かったのに」」

訂正。やっぱり見直したりなんかしませんわ。









朝日が昇る—————。



                シルエット
朝日と同じ方向から、ひとつの影。        シルエット
ああ、朝日の前にわたくしを救ってくださった英雄の影が・・・

「よっ!無事か?」

・・・小っさ!!

「あの・・・。あなたの方こそ、大丈夫ですの??」
「ん?あ、これか?今の技使うと反動でこうなんだ、気にすんな!」

なっはっはっは、と明るく笑い飛ばす。

本当に明るくて楽しいひと。
リィフは先程とっさに出た自分の一言が真実になればいいのに、と少なからず思っていた事に自身で気づかなかった。