二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士— ( No.33 )
日時: 2011/02/16 23:38
名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y

   第十二話 出航初日の夜明け

乗船したリィフは、今一度村を見た。
目に焼き付けようとするかのようにはっきりと村や村人、そして執事達を見た。
じいやは白いハンカチで目元をぬぐっている。

「また会いましょう、みんな!行ってきます」
「行ってらっしゃ〜〜い!」
「元気でね!」

口々に叫ぶ。ルフィが「出航だァ!」と言い、リィフは大きく手を振った。
村人達もばらばらに手を精一杯振っている。
リィフは島の人たちが見えなくなるまでずっと手を振り続けていた。




「う゛ぁ〜・・・釣れねェなァ・・・」
「魚いねェんじゃねぇかァ?」

ルフィとウソップが釣りをしながらそう話していた。
耳を澄まし、海中の気配を探ると、リィフは確信して船べりの2人の横に立った。
2人は怪訝そうに見上げ、小心者ウソップは悪魔の実の能力者である彼女が海に落ちてしまわないか心配そうに見ていた。

「・・・いますわよ」
「え」
「ちょ、危ねェぞ!!?」
「大丈夫ですわ」

そう言ってリィフは背中から蒼い海に落下した。
全てが青く見える海の中、2人があわてて彼女の落ちたところを見てあわあわしているのが見えた。
海の中では白いあぶくの格子が網のようにリィフの上を揺らめいていた。


海上———。

「うわぁあああ!大変だ!!うちの音楽家が落ちたァ!!」
「今助けるぞリィフ!!」

・・・———ザッボォーン———・・・

「Σアホかァ!おめぇが飛び込んでどうするカナヅチ!!」

しかし後の祭り。
ルフィは海中でがぼがぼと泡吹き沈んでゆく。
2人を救出しようと深呼吸したそのとき、事は起こった。

「な・・・なんじゃこりゃあああ!!?」

叫んだウソップの目線の先には——水柱。
しかし目を凝らして見ると、水柱の中には大きな魚のシルエットとルフィ。
あっけにとられて見ていると、水柱はウソップのいる芝生のほうへと向かってきていた。

「うわぁああああ!!?」
「ぶべッ!?」

ウソップがよけた瞬間、水柱が芝生に衝突&消滅して中のルフィは顔面から地面に突っ込む格好になった。
水柱から出てきたのは、ルフィと7匹の魚達。
しかもそのうち3匹は入手困難なはずの『エレファントマグロ』だった。

「ゲッホ、ゲホッ!?」
「うぉいルフィ大丈夫か!!?」
「お・・・おう・・・・。ん!?これって鼻が美味いマグロだ!」
「飯に関すると記憶力いいのなお前;」

にしし、と笑うルフィの横に水柱がも一本突っ込んできて、やがてスピードを緩めて止まった。
水柱はやがて形を変え——なんと、リィフの姿になった。

「まったく・・・。余計な仕事が増えましたわ」
「いやぁ〜参った。落ちても平気とは」

反省するそぶりも見せずに笑うルフィ。
まぁ悪かったのはリィフなのだが、高飛車な彼女が気づくはずも無い。気づいたとして、恐らく逆ギレだろう。
緊張がほぐれたようにウソップは脱力したのか、座り込んだ。

「これどうするよ??」
「おれ運ぶぞ!飯だ!夜飯だ!」

俄然大食らいのルフィが一番に名乗り出、「め〜し♪メ〜シ♪」と歌いながらでかい魚を一気に運んだ。
サンジが水槽の下にいるはずで、やはりまもなく驚きの声が聞こえた。

「お前落ちても平気なんだな」
「まぁ・・・海楼石をはめてたり、気絶してなければ」

考えながらウソップは納得したように「ふ〜ん・・・」と唸るように言った。












夜—————。


同室の二人を起こさないように、リィフはそっと寝室を抜け出した。
バレても支障はないが、やはり二人を起こしてしまうと申し訳ない気がしたリィフは静かに部屋を後にする。
当然、ルフィでもあるまいし夜中のつまみ食いではない。

今の時間—現在 AM4:00—から3時間、リィフが見張り台で番をする番だ。
リィフの前の担当はルフィだが、ちゃんと帰っているだろうか。
それとも次の彼女を待っている?でなければ見張り台で爆睡していることだろう。

眠っている気がする。いや、「気がする」ではなく眠っている。絶対。


案の定、見張り台に上っていったリィフの目に入ったのは爆睡中のルフィの姿だった。
リィフはひとつ静かにため息をついて彼を起こそうと手を差し出したが、ふと思いついてそれを引っ込める。

———ただ起こすだけではつまらない———

よくわからないこの考えに、眠気でぼんやりとしていたリィフの脳内はフル回転を始めた。
唇に手を当て、考えるポーズをする。
鼻を摘まむ?瞼を引っ張ってみる?
う〜ん・・・・。

キス、してみちゃうとか・・・

リィフの中の小悪魔がそう囁いた。
お嬢様なんだけど、わたくし。一応。・・・そんな、はしたないというか、ふしだらというか・・・恥ずかしいことを・・・。


して、みちゃったり。

ううん、だめだ。無理。

「ん〜・・・」

頬って、突っついてもゴムみたいな弾力なのかな?
なぜかそう思ったリィフは少し押してみた。

う〜ん・・・普通。

なぁんだ。期待したのに。
起きても、自分の番だったから来たとか言い訳すれば良い。
そう思い、どうにか呼吸を整えると薬を飲んでいないことに今更気づく。
仕方なく(?)リィフはするすると下へ降りた。
トン、とハイヒールが硬い音を響かせる。

誰もいない医務室にそっと忍び込み、チョッパーの用意してくれた薬に手を伸ばす。
ありがたく薬を頂戴し、リィフは水を入れるためのコップを求めてキッチンへ。



しかしそんな彼女の後ろからひとりの人影が迫っていた・・・。