二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 魔法使い物語【オリキャラ&武器&技募集中!】 ( No.886 )
- 日時: 2011/03/25 17:52
- 名前: 海穹 ◆EZarcElGGo (ID: UruhQZnK)
〜イナズマイレブン世界編〜
ベンチに座ると氷歌はまた凛々しい顔になった。真面目な顔。
『私が受け止める。』
そう言った時の氷歌の顔と同じだった。
「影山は死んだ。それは何があろうと変わらない事実。それだけ会いたいと思っても会えない。ちゃんと分かってるんでしょ?」
淡々とした冷静な声で氷歌が言った。
「分かってるさ……」
そうだ分かってる会えない。絶対に会えない。
「分かってるから悲しくて辛い。それを誰にもぶつけないからもっと辛くなる、悲しくなる。」
「……」
何も言えない。また悲しみが溢れて来て声を出せない。声を出したら涙が出てしまいそうだ。堪えるために下を向いた。
「何で涙を堪えるの?」
呟きが聞こえた。本当に小さな声だがはっきりと俺の耳には届いた。
そう言った氷歌の顔は少し怒ったような顔だった。真面目な顔。そして怒った顔。
「氷歌……?」
俺がそう言ったその時だった。
フワッと何かに包みこまれた。氷歌が俺に抱きついていたのだ。両腕を後ろにまわし、ギュッと俺を抱きしめている。
何をしているんだこいつは……
「氷歌!」
大きな声でそう言った。離せという意味でそう言ったのに氷歌は俺から離れようとはしなかった。
どういうことだ。どうして氷歌は俺に抱きついている?
「泣けばいいじゃない。」
氷歌が呟いた。優しい声だった。さっきまでのあの凛々しい顔からは考えられないほど優しい声。
そんなに優しい声で言われたら本当に泣いてしまいそうになる。ただでさえ必死で涙を堪えてるというのにこいつは……
「辛いんでしょ?泣きたいんでしょ?だったら思いっきり泣きなよ。堪えたって何も起こらないよ?」
氷歌は優しい声のままでそう呟いた。
無理だ。泣けない……
必死に涙を堪える。頼む氷歌、離してくれ……泣いているところなんて見られたくない、見られたくないんだ……
「涙はもう枯れた。もう涙なんか流れない。」
そう呟いた。離してもらうために言っただけだ。
「適当なこと言わないで。涙は枯れたりしない。絶対に、ね。」
……涙は枯れたりしない……?
「涙が枯れたとか言う人は涙を堪えてる人だよ。泣かないためにそう言ってるだけ。だいいち、涙は枯れたりしないもの。悲しければ涙が出る。悲しかったら涙は勝手に流れる。悲しみが消えない限り涙は消えたりしない。枯れたりしない。分かる?」
氷歌の優しい声が心に響く。氷歌の言ってることはあっている。俺は涙を堪えるために涙は枯れたと言った。氷歌は騙されてはくれないらしい。
「悲しみがある限り、涙もある続ける。そして悲しみは消えるわけないの。悲しみは、悲しいっていう感情は消えたりしない。感情は消えたりしないもの。だから涙は絶対に枯れない。絶対に、絶対に……!」